カルチャー
[女性誌速攻レビュー] 「CanCam」8月号

万能雑誌からの脱却? 信者以外楽しめない「CanCam」8月号

2010/06/27 21:00
「CanCam」(小学館)8月号

 今月号の「CanCam」の特別付録は「COACH POPPYレターセット付き特製缶ケース」です。先月号の付録が「お疲れちゃんシール」だったことを思えば、かなりグレードアップ。というか、「COACH」ブランドの付録のために、先月号は付録を”捨てた”のかしら? と下衆の勘ぐりをしてしまいました。でもよくよく考えると、こんなポップなレターセットで誰に手紙を送ればいいんだろう。この缶ケースは本当にいるのだろうか、といろんな疑問が沸いてきます。付録から読者を戸惑わせる雑誌「CanCam」、早速中身を見ていきましょう。

<トピック>
◎”かわいい賢人の夏ランキング”発表
◎感動の最終回 REAL MODELS
◎この夏、自分史上最高バストに!

■読者を困惑させるトラップ?

 まずは今月号の大特集「”かわいい賢人の夏ランキング”発表」を見ていきましょう。有名人ページでは、「CanCam」のテイストは微妙に方向性の違う、ダルビッシュ紗栄子や西野カナ、AKB48の小嶋陽菜・板野友美まで登場させるほどの雑食っぷり。それでも有名人ページから、同誌モデルの徳澤直子、安座間美優が登場するページまでは、気になるファッションアイテムやコーディネートをランキング形式で紹介するなど、特集名に沿うような誌面作り。

 ところが、6大都市のスナップページになった途端にランキングが大雑把に。「日本全国エレガンスOL現象!!」や「おしゃれなコからパンツ主義だった!!」など、誰にでも当てはまるようなランキング内容。しまいには「部屋作りが地元で有名!」な一般人の自宅に行ってみたり、「女子会がどんどん進化していた!」と潜入してみたり、「スポーツイケメンアワード」をいきなり開催してみたり。あれっ、結局何の特集なんだっけ? と読んだ後に空虚な気持ちになってしまいました。

■洋服にそこまでの努力を惜しまないなんて

 「CanCam」で紹介されている商品の一部は、公式HP「CanCam.TV」で購入できるという、とっても便利な仕組みになっているのですが、今月号の連動ページはちょっと気合が入っているようですので、チェックしてみたいと思います。その名も「買わなきゃウソ! のアンダー1万7,000円超絶メリットな1週間セット」です。「買わなきゃウソ!」って、恐らく買わない私はウソつきなんでしょうね。

 な~んて姑みたいなことを言っていますが、好みであればお買い得であろうセットがいくつも紹介されており、煽り文句も読者が目を引きそうなものばかり。「全方位モテ 愛されガールなれる5点、2リバーシブル!」「上品レディな5点セットで毎日エレガンス!」「人とかぶりたくない! そんなワガママを叶える、奇跡の4点セット!」などなど。「CanCam」読者は、「全方位に愛され、品をキープしつつ、人とかぶらない」ために奮闘しているかと思うと、その苦労に涙をこらえきれません。ゴールがどこなのか分からないけど、頑張って!

■広告部と編集部の折り合いの場所?

 「CanCam」の女性誌レビューを書く上で、扱いに困っていたコンテンツがあります。それが「フォトドラマ REAL MODELS」。舞川あいく、安座間美優など同誌のモデルが出演し、ただ、写真と文だけで進んでいく恋愛ストーリーなのですが、ストーリーが携帯小説ほどドロドロしくもなれないし、少女マンガほどときめきも感じさせない、という最悪なパターン。存在の意味があるとすれば、劇中で登場する小物やチョイ役で出演した有名人、ロケ地(ホテルやレストラン)をバックステージとして紹介できる、という政治がらみの折り合いの場所というぐらいでしょうか。今回、無事に最終回を迎えてよかったよかった、と胸をなでおろしていたら、来月号からは「REAL GIRLS」というシリーズが始まるんだとか。このシリーズを継続する意味を知りたい、と願っているのは私だけではないはずです。

 今月も信者以外には戸惑うばかりの企画があふれていた、「CanCam」。企画がイマイチだっただけに、エースモデルの不在、アパレルの新作が出ない月(=広告も入らない)という苦しい現状を隠しきれませんでした。実売・広告ともに、青文字系とギャル系の勢いに防戦一方の赤文字系。信者以外は寄せ付けない誌面作りは、もしや万能雑誌から脱却するための、第一歩なのでしょうか。赤文字系の雄「CanCam」がどのように変質していくのか(もしくは変わらないのか)、来月号も注目していきたいと思います。
(小島かほり)

「CanCam」

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最終更新:2013/03/25 22:34
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