女は「TENGA」に負けている! 「GINGER」が示す「男の生声白書」
”自立したアラサー女性”をターゲットに、自分らしいスタイルを提案する「GINGER」。今月号の表紙は、常連の滝川クリステルさん。早速、彼女のインタビューページに目をやると、なんと「私の仕事の原動力は黒柳徹子さん。小学校のころから変わらず、目標です」との発言が。「サイゾーウーマン」より前から徹子をウォッチングしているなんて、滝クリはもはや当サイトのゴットマザーと認めざるを得ないでしょう(ようこそ、こっち側へ)。では、家族が増えたところで中身を見ていきましょう!
<トピック>
◎美人オーラな夏服
◎真夏のおしゃれSNAP
◎映画『シュアリー・サムデイ』スペシャルインタビュー ”バカで最強”な6人の男たち
◎男の生声白書「モテる女の恋愛作法」
■結局、モテたかったんですね
表紙の甘々なデザインにイヤな予感を感じつつ読み進めると、その予感は的中。「こんなに違う![女子会vs合コン]style」という記事や、「男の生声白書 モテる女の恋愛作法」という大特集など、至るところに「モテ」を意識した内容が。それらは「GINGER」が掲げていたはずの”自分らしくカッコいい女性像”とはかけ離れ、まるで「CanCam」(小学館)でも読んでいるかのよう。また、一見普通のコーディネートページにも、次のような文章が。
「男は”女のショートパンツ”が嫌いだ。男にモテない印象美人なんて偽物。たとえ鎧の服を着ても男にモテなきゃ印象美人じゃない。(中略)ショートパンツをはいても、どこかでちゃんと男をそそる、ゾクッとするような女になっているべきなのだ」
男がショートパンツを嫌っているか否かは置いといて、確実に”男の目”を意識してます。更に、次号予告のページには、「大人だけどモテたい!夏の大人モテMy Style」というタイトルの特集もあり、この「モテ」への執着は今月号だけじゃないみたいです。こうなると『もはや「GINGER」らしさって何?』という疑問がわいてきます。山田優がいっぱい出てること? 茂木健一郎の連載?
■山田&小栗カップルが見られるのは「GINGER」だけ!
今月の「GINGER」はスキャンダラス! 看板モデルである山田優だらけの本誌に、小栗旬のインタビューを掲載。初監督を務めた映画『シュアリー・サムデイ』の特集が、4ページに渡り組まれています。なお、小栗監督インタビューの一部がこちら。
「製作サイドより事務所が強くなってるから、よくわかんない世界になっちゃってて」
「役者はやめて、監督だけでもいいとさえ思ってる。僕はいつでも捨てられますよ」
「息苦しい芸能界に、傷跡を残して死んでいきたい」
業界への不満を遠回しにぶちまけ、お得意のトンガリっぷりを発揮。また、次回作についても意欲満々なようで、
「結婚式をテーマに、次は脚本も書いてみたい。というのも僕が結婚式にすごく違和感を感じるんですよ。結婚しちゃうと俺、結婚式肯定派になっちゃうと思うから(笑)。その前に違和感をぶつけたい」
ちなみに優ちゃんは、この「2作目を撮り終えないと結婚しない宣言」についてどう感じてらっしゃるのでしょうか。このインタビューが発端でケンカにならなきゃいいけど。
■セックスは、オナニーに負けているそうです
21ページにも渡る大特集「男の生声白書『モテる女の恋愛作法』」。扉ページには、「大反響のGINGER恋愛読物 スペシャル版」と自信満々なキャッチが。ワクワクしながら扉をめくると、「女ひとり寿司」(幻冬舎)などの著書・湯山玲子さんによる「なぜ昨今、男たちは女から逃げていくのか」というエッセイが出現。その内容が書き出しからしてすごい。
「男は今、ものすごい勢いで女から逃げ出している。この件に異議のある女性は、もはや今のニッポンにはいないだろう」
ヒ~! あまりのパワフルな言葉遣いに「意義アリ!」なんて絶対言えません。そして、終電を逃した女を前にしても「ホテルでイタすよりも、漫画喫茶でマッタリを選ぶ」という昨今の草食系男子ついて、その理由をこう切り出す。
「その余裕はどこから来るかと言えば、みなさんも薄々は分かっていたと思いますが、彼らがデートの前に自室のパソコンでさんざん見尽くしている、『こんな可愛い娘がこんなヤバいこと』のAVに他ならない。でもさ、AVの女性には人肌のぬくもりはないでしょ? なんてタカをくくってはいけない。すでにそのあたりは、TENGAの登場で男性たちの欲求はそっち方面でも満たされつつあるのだ」
生身の女性が、”現代のオナニー”に負けつつあるってことらしいです。異議があろうがなかろうが、このエッセイは最後までこの調子。唾が飛んできそうな迫力と、ものすごい自信は、ある意味、必読です!
変化の真っ最中にあった「GINGER」8月号。最近は、号を追うごとに文字数が減少し、小難しさが排除され、新規読者も気軽に手に取りやすい雑誌に変わりつつあります。ただ、今月はその中途半端な状態に、「モテ」や、分かりづらい切り口のファッションページを多数ねじ込んだことで、読者像の見えないアンバランスな雑誌に仕上がっている印象でした。軌道修正中ということで、来月号に期待したいと思います。
(林タモツ)
「TENGA」という文字が載ってるとは思えない、知的な表紙
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