狩野英孝が上沼料理番組に単独ゲスト出演、笑いはとれるのか?
今回ツッコませていただくのは、3月第1週、3月1日~5日放送分の『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』(テレビ朝日系)。
ゲストは狩野英孝。月曜日、テレビをつけて狩野が座ってるのを目撃した途端、なんか危険なものを見てしまった気がした。大丈夫、英孝さん? といったハラハラ感というのか。言うまでもなく、上沼恵美子はM-1決勝の審査員も務める関西お笑い界の重鎮である。当然、笑いにはとても厳しい目を持っている人だ。当の狩野英孝は、笑いの神を呼び寄せる天才であるとは思うのだけど、その才に本人がイマイチ気がついていない印象が強い(最近は、その気付かないぶりを笑うという扱いも多いが)。要するに、英孝さんがズレたことして上沼さんを呆れさせたり逆鱗に触れたりしないだろうか、というハラハラだ。番組は金曜日まであるわけだが、単独で間は持つのか。さて。
様子を見守っていると、上沼さんと料理を指導するやりとりの合間に狩野、「へー」と妙な間で気の抜けた相槌をうったりして、この気の抜け方が、ちょっと面白い。緊張しているのか、終始爽やかに微笑んでいる。それで爽やかかつ素っ頓狂に「ヘー」。フレームに入ってない状態で、相槌の声だけが時々聞こえてくるのが笑える。料理の感想も、「おいしいいですねぇ」とか、無難な感じに番組は終わっていった。どこかホッっとした。
で、翌火曜日。番組の序盤に上沼が話を振った。
「胸のバラ、すごくカッコいいですね」
そう言われて狩野英孝、ちょっとハニカミながら一言。
「そうすか。これ100円なんですけど」
この無防備な返しが想定外でツボだったのか、上沼さんが腹を抱えて笑っている。意外なところで序盤にクリティカルヒットが飛び出した。狩野のイケメンバラは100均商品という、かなりどうでもいい情報を得たところで、上沼が「100均のバラ」について掘り下げる。
「そんなとこ行かれるんですか!?」
すると、
「よく行きますよ、バラ買いに」
それだけでまた上沼さんが腹を抱えている。隣で料理の先生も声出して笑ってるし。この調子で一気にいきたいところだが、親友の小島よしおとよく食事に行くという話になり、おそらく鉄板なのだろう「キャラ芸人」としての自虐ネタを繰り出した。
「ここ3年ぐらいですかね、来年消えそうな芸人第1位、第2位なんスよ、ぼくら」
渾身の自虐ネタに上沼さんは、
「おめでとうございます。全然それで消えないから、偉いやんか。パチパチ」
と、いちおう受けてくれたが、拍手でアッサリ締められた。やっぱり能動的に笑いをとりにいくと空振るのか。
水曜日、大人になってからは海外に行ったことがない、子供のころに一人で海外へ船旅をしたことがある、と語る英孝さん。そして行先を、
「グアム、サイパンに……」
と言った途端「アハハハハ……!」と、上沼さんが爆笑。それだけのことなのに、先生も「船で……」とかつぶやいて笑っている。笑っちゃったのは、行き先そのものにウケたのではなく、
「なんでそないして、小出しで言うんですか。分かるように言うてください」
と、英孝さんの言い方がツボだったようだ。
木曜日には、付き合って3年になる年上の彼女がいるらしいことや、彼女のところに「帰って」とポロリと言ってしまい、「”帰って”!? 一緒に住んでんの!?」と、同棲してそうなことまで話してしまう(本人は「彼女の家にですよ」と同棲を否定)カワイイ英孝さん。金曜のエンディングには、”50TA”名義でリリースしたCDの告知を照れ笑いを浮かべながらする。「何で笑ってるんですか?」と聞かれると、照れくさそうに、
「まさか、こうやって告知できるって……」
最後にまた爆笑。どこに謙虚さを出してるんだ。そのポイントがまた絶妙。
5日間付き合ったことで、いろいろいらないプチ英孝情報も得てしまったけども、上沼さんも思わず吹き出す狩野の天然ワールド、堪能できました。
(太田サトル)
ん? べストアルバムだそうです
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