写真誌までAKB商法? タレントパワーに頼る出版業界の崖っぷち度
雑誌の休刊が相次ぐ出版業界。2009年には「PINKY」(集英社)や「ChouChou」(角川グループパブリッシング)をはじめとする約70冊が、今年に入ってからもグラビア誌「Sabra」(小学館)など10冊以上の休刊がすでに発表されている。なんとか生き残っている雑誌にも、広告ページの激減で「アレ、この雑誌ってこんなに薄かった?」という痛ましい姿がチラホラ。
厳しい出版不況を象徴する内容となったのが、2月5日発売の「FRIDAY」(講談社)だ。国民的人気と、オタ層の中毒的購買力にあやかり、このところ毎号のようにAKB48のグラビアや記事を掲載している。件の号では、袋とじでグループNo.2人気の大島優子の水着グラビア。さらに、AKB48のメンバー同士が写真を撮り合う連載ページをスタート。極めつきは、全3種類中1枚が封入されているという特製ポスターの付録だ。このポスター、買って袋を開けるまで中身は分からず、ファンならば重複購入してもコンプリートを目指したくなる。これは、いわゆる「AKB商法」ではないか? オマケの握手券欲しさにCDを大量購入し、本商品であるCDを捨てるという珍現象まで起きたAKB商法。まさか、「FRIDAY」でも同じことが起きている!?
AKB48プッシュといえば、数々のアイドルスキャンダルを発信してきたゴシップ誌「BUBKA」(コアマガジン)も相当な力の入れようだ。
「あそこは担当編集者がリアルヲタなんですよ。ニーズにはマッチしていますが、鬼畜系ゴシップ誌としての本懐を見失っている感も(笑)。それに乗っかってインタビューに登場するなど、巧みに利用する秋元康は、さすが戦略のプロですね」(フリーライター)
タレントの天敵とも言える写真誌やゴシップ誌と緊密な関係を作る事務所の戦略とは……。
「実売に繋がるコンテンツを提供し、良好な関係を作っておけば、スキャンダルが漏れそうになった際、強い抑止力になります」(前同)
元来写真誌では、「世間の興味」という大義を掲げ、タレントを「公人」として扱い、彼らのプライベートを暴いてきた。そんなメディアが、目先の売り上げに手を伸ばし、世間が興味を抱くようなスキャンダルから手を引くようなことが本当にあるのだとしたら、いささか主義のブレを感じないでもない。それほどまでに、出版不況は深刻化しているというのだろうか。
数少ない好調雑誌「Hanako」(マガジンハウス)。内容のリニューアルを図ったことがヒットの要因と言われているが、ジャニーズタレントが毎号数組登場することも少なからず影響しているはず。「an・an」(前同)などでジャニーズとの関係を築いてきたマガジンハウスならではの成功だ。
人気タレントや大手事務所への配慮から、テレビ業界が報道や伝え方に手心を加えるのは周知の事実。また、タレントの名前に頼ったキャスティングによって、ドラマの質が落ちたと言われるようになっても久しい。AKB48を猛プッシュする写真誌、ジャニタレ頼りの女性情報誌。この不況をタレントパワーで乗り切ろうとする出版業界も、テレビと同じ道を歩むのだろうか……?
『FRIDAY創刊25周年史上最大の袋とじ 熱愛全史 (講談社MOOK) (ムック)』
名作スクープがなくなっちゃうのは悲しい
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