滝クリを表紙に据え、資生堂の広報誌となった「GINGER」
今月の「GINGER」の表紙は滝川クリステル。「大人の春服」が大特集なので、ピンクを使って春らしいイメージ。ただ、自立した女性をターゲットにしている同誌にとっては、かわい過ぎるような気もしますが……。では早速、中身を見てみましょう。まずはトピックから。
<トピック>
◎大人の春服
◎使える「春靴」大図鑑
◎究極の「代謝BODY」ダイエット
◎山田優 TREND CATCHER/オノ・ヨーコ
■滝クリを表紙に使うことのメリット?
表紙をめくってすぐに目に飛び込んできたのは、資生堂「GRANAS」の広告。いわずとしれた、滝川クリステルをイメージモデルに使った化粧品ラインです。このぐらいなら、どの雑誌も行うレベルの話ですので、まだ問題なし。
ただ、今月の「GINGER」は資生堂の香りがするページが盛りだくさんです。「REVITAL GRANAS 研究」と題したページでは、例の「GRANAS」のスキンケアシリーズをフィーチャー。マーケティング担当と研究職2人を動員し、商品の魅力を語らせています。さらには読者2人が、1カ月商品を使用し、どのような肌変化があったかを語るページも。こちらは純粋な広告で6ページを使っていました。
さらに続く「資生堂特集」、気になったのは「資生堂の女たち」という企画。8人の資生堂社員を引っ張り出して、仕事へのスタンスやキャリアなどを語っているのですが、計10ページを使う大企画。「メーキャップアドバイザー」「ビューティートップスペシャリスト」「コピーライター」、しまいには副社長まで登場するなど気合いが入ってます。様々な職種の方の話を聞けるのはいいのですが、それほど細かく分けて登場させる意味があるのかちょっと疑問。ページに対する文字量が多めなことも照らし合わせると、資生堂からのプレッシャーがあったことが窺えます。結果、資生堂の社内広報誌のような作りになってしまい、残念。「雑誌を面白くなくするのは、スポンサー」という、専門家の言葉を思い出しました。
■自立を謳うの? 男に媚びるの?
同誌のモデル・山田優が毎回ゲストを迎える対談ページ「TREND CATCHER」に、オノ・ヨーコが登場です。オノ・ヨーコが幻冬舎から出した最新刊のための稼働のようです。山田優がオノ・ヨーコと対等に意見を交わすわけもなく、基本的には山田優が”拝聴”姿勢で臨んでいます。なんでも、「自分に何も与えてくれない人はクズ」だそうで、反対に自分も相手になにかを与え続けなければならないそうです。自立した女性のための雑誌、「GINGER」に載るべき御言葉、耳が痛とうございます。
と思いきや、巻末には「今年中に結婚する! ための60の方法」と、なんとも直球かつ前のめりの企画が展開されています。「恋愛・結婚のエキスパート」(笑)の4人が、恋愛体質づくりから彼にプロポーズを決断させる押しの一手までを教えてくださるそうです。ありがたや~。
ところが、そのアドバイスが「自立した女性」にそぐわない内容。まず恋愛体質づくりには、「モテ子とつるんでフェロモン吸収」「男性とゴハンに行き、乙女リアクション」が有効とのこと。他力本願&ぶりっ子って、80年代を思い出す手法です。「出会ってからのつなぎ術」は、「”フワ・ひら・ゆら”が第一印象ファッションの掟」とのこと。「GINGER」のファッションページに掲載されないテイストですが、大丈夫でしょうか?
ここからは急スピードでヒートアップしていきます。「彼に結婚を意識させる洗脳術」では「時にはアブノーマルなエッチに応じて彼の欲求を掘り下げる」と一番間違いがちな方向へと導いています。頭のいい女性ほど、こういうのを真に受けそうで、なんとも罪深いアドバイス。「彼がプロポーズしてくれない!」という人への押しの一手には、「デートの約束はジュエリー店の前で」「友達の赤ちゃん写真を見せて出産リミットを意識させる」「『どんなときでも味方だよ』彼のNo.1サポーター宣言」だそうで、結婚に必死すぎる女性を、自立した女性と呼ばれるのかという疑問がよぎりました。
ほかにも「みんなのお財布事情」という読者の収支を公開する連載ページでは、手取りの月収が20万円、家賃は彼に出してもらい、ファッションに10万円ほどかけている女性が登場。支出の不足分はこれまた彼に出してもらいつつ、貯金総額が1000万円というツワモノっぷりを発揮していました。
間もなく、創刊1周年を迎える「GINGER」ですが、まだまだコンセプトが定まらないようです。掲載しているアイテムは以前はセレクトショップ系だったのにもかかわらず、今月は満を持して「ユニクロ」や”990円以下デニム”まで登場。迷走気味の女性誌界ですが、ゴールが設定されているのかすら不明の「GINGER」。来月号は走っているか、歩いているのかも分かりませんが、楽しみに待っています。
(小島かほり)
見えそうなおっぱいは、しまってください。
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