サイゾーウーマンカルチャースポット萩尾望都『トーマの心臓』の舞台が原宿に! 耽美な世界を再現 カルチャー 劇団Studio Life× 男子校カフェ『エーデルシュタイン』 萩尾望都『トーマの心臓』の舞台が原宿に! 耽美な世界を再現 2010/01/17 11:45 スポット 嗚呼、こんな男子校に潜入するみたいでドキドキするっ♪ 漫画家・萩尾望都の名作『トーマの心臓』『訪問者』がこの春、舞台化される。演じるのは劇団Studio Life。今年結団25周年を迎える実力派である。Studio Lifeは20~30代の女性に絶大な人気を誇っているが、それにはれっきとした理由がある。所属劇団員40名は全員男優。ただひとりの女性である演出家・倉田淳が、数々の耽美的な文芸作品を女性の視点で描き、繊細な心情表現に成功しているから、なのだ。 過去にもトーマス・マンの『ヴェニスに死す』やシェイクスピア劇を演じ、大入り満員を達成してきたStudio Life。今回の『トーマの心臓』にも注目が集まっているが、影響は舞台の外にも及び、なんと原宿の「男子校カフェ」とのコラボレーションが実現。今月10日から31日まで「シュロッターベッツ・ギムナジウム」なるイベントを開催中だという。さっそく行ってみた。 神宮前交差点近くの横道に入り、見えてきた洋館風の建物の2階がカフェ「エーデルシュタイン」。少女マンガに出てくる全寮制の男子校をモチーフにしており、スタッフは全員、清潔感のある男性が務めている。ここが今月いっぱい、装いを『トーマの心臓』の舞台となる高校「シュロッターベッツ・ギムナジウム」仕様に変えるというのである。 「2月27日から始まるStudio Lifeさん25周年記念公演第一弾企画とのコラボということで、いつもと違うおもてなしをご用意しています。マンガ原作に登場するお料理をお出ししたり、お芝居で使用する小道具を本棚に飾ったり……」(店舗をプロデュースした酒巻絵美子) こだわりの小物が世界観を確立してくれる なるほど、店内を見渡してみると、スタッフがシュロッターベッツ・ギムナジウムの生徒に扮し、舞台で使用されるのと同じ(!)制服を着用している。しかもサプライズとして、時折、劇団員がシュロッターベッツ生として、サロンに登場することもあるらしい。 エーリク・フリューリンク役の松本慎也は「開催期間中、1時間ごとにチャイムが鳴るんですけど、サプライズゲストが登場するときはそれがないんですよ。かわりにぼくらが生徒として、何気なくカフェにいます。お芝居の内容も含めて、みなさんといろいろお話できるんです」と説明する。 オスカー・ライザーを演じる岩崎大はコラボレーションの印象をこう語る。 「舞台の空間はお客さんが演劇を見に来る、夢に近い特殊なものですけれど、カフェは現実に夢の世界がカチッとはまっている感じがしますね。作りこんだ空間でお料理が出てくると非現実的になるんじゃないかと心配していたんですが、いざ来てみるとすんなりお店の空気になじめる。いい意味でちょっとびっくりしました」 本棚に飾られている小道具は稽古で使わないのだろうか? という疑問がわくが「稽古は仮道具で進めますから、大丈夫です」(劇団Studio Life広報)とのこと。とはいえ、日々少しずつお店から姿を消していくかもしれないので、小道具を間近に観たいなら早めに訪れたほうがよさそうだ。 写真は「エンゲリーカのクッキーとヘラのケーキ」。そのほかアップルパイなど、全部で10品目ほどのコラボメニューがテーブルに並ぶ そしてコラボメニュー。マンガ原作の料理というと「マンガ肉」的な異形を思い浮かべがちだが、実際に出来上がったお菓子は、質素と言ってもいいくらいの外見をしている。 「お料理でこだわった点としては、原作の雰囲気を壊さない”見た目”ですね。あまり派手派手しいとシュロッターベッツのひっそりとした感じにそぐわないので、あえてシンプルにしました。クッキーも手作りですし、とにかく原作に忠実に。もちろん、おいしさも大事です。以前のコラボでは外見を追求するあまり、試作したらイマイチだったということもありましたが(苦笑)、今回はうまくいきました。ほかにも、球体のおにぎりを作ろうとしてうまく握れなかったこともありましたけれども、そんなアクシデントもなく。安心して召し上がっていただけます」(酒巻) ふだんから女性客で(静かに)賑わうエーデルシュタインだが、期間中は萩尾望都ファンとおぼしきお客様の数も増え、またちがった雰囲気を醸し出している。入口に据え付けられたノートにはコラボメニューについて賞賛する声が並び、反響は大きいようだ。 「あまり構えずに、男性の方もお気軽にいらしていただけたらなと思います。舞台の世界観を味わえるように従業員一同がんばっておりますので、ぜひ『トーマの心臓』世界の再現を楽しんでください」(酒巻) バーチャルとリアルが融合したコラボカフェ。『トーマの心臓』世界に浸って英気を養いつつ、来るべき舞台に夢を馳せるのもよいかもしれない。 オスカー役の岩崎大(左)、エーリク役の松本慎也(右)。中央は同店スタッフ。残念ながら劇団員との記念写真撮影はNG! スタッフとはOKだそうです。 ■岩崎大(オスカー・ライザー役) 『トーマの心臓』への出演は5回目です。これまでいろいろな役を演じさせていただきましたが、オスカー・ライザーを演じるのは今回が初めて。連鎖公演の『訪問者』では少年時代のオスカーを演じていましたから、その成長した姿をお見せすることになりますね。結団から四半世紀という節目にかける気持ちは劇団員のなかにも強くあり、お客様の期待も大きい。それらを裏切らないだけの情熱を注ぎこんで、全力投球でいきたいと思います。 ■松本慎也(エーリク・フリューリンク役) Studoi Lifeはダブルキャストが多いのですが、ぼくは劇団に入ってまだ6年目にもかかわらず、今回、エーリク役をシングルで任せていただくことになりました。以前にダブルでエーリクを演じたことがありますが、彼を演じられたからいまがあると言ってもいい、重要な役です。代々、先輩たちが築き上げてきたもののプレッシャーもありますし、重大な責任を感じています。 俗に世間で「イケメン舞台」と言われる男優だけのお芝居も増えてきましたけれども、Studio Lifeの舞台には登場人物同士の関係性や世界観を繊細に描き出す、独特の匂いがあると思うんです。男優が女性役も演じることでイロモノに観られることもあるのですが、女性の心に響くよう真摯に取り組んでいますので、ぜひ観に来ていただきたいです。 (取材・文=後藤勝) 劇団Studio Life 『トーマの心臓』『訪問者』連鎖公演 2/27~3/22 紀伊國屋ホール 3/27~28 名鉄ホール 4/13 仙台市民会館・大ホール 公式サイト エーデルシュタイン公式サイト 『トーマの心臓 (小学館文庫)』 未読の人は読んでから行くべし! 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・俳優の卵たちが接客してくれる、うわさのギャルソンカフェに潜入!! ・「バトラーズカフェ」でイケメン外国人執事に癒やされたい♪ ・乙女の理想空間がここに! メガネスーツカフェで社内ラブを体感♪ 最終更新:2011/03/13 22:20 次の記事 エロス的女子会『エクスタシーサミット』に潜入! え、緊縛も!? >