店がまるごと龍馬! まったく歴史に関係ない、龍馬スポット巡り(後編)
「ウチの店名は”龍馬”ではなく”竜馬”なの。それは、大好きな司馬遼太郎の歴史小説『竜馬がゆく』の表記からなんですよ」と、開口一番かなりの龍馬通をひしひしと感じさせてくれたのは、神奈川県・横須賀市のやきとり屋「竜馬におまかせ」店主・齋藤秀一さん。
彼は坂本龍馬を感じられる飲食店を開こうと脱サラし、一昨年の5月に同店をオープン。横須賀の地での開業を選んだのも、齋藤さん自身の地元だったことが1割、龍馬の妻・おりょうさんの終焉の地だったことが9割という龍馬遁走ぶりです。齋藤さんが龍馬の虜になったキッカケは、中学三年生のときに、芸能界一の龍馬フリーク武田鉄矢さん率いる”海援隊”のコンサートへ行き、MCで武田氏が語った熱~い龍馬トーク(本当に熱そう…)に感銘を受けたことにさかのぼります。そんな異色な経歴で、龍馬ワールドに足を踏み入れた彼が手がけるやきとり屋の店内は、龍馬グッズでデコレーションされ、提供する料理も龍馬をキーワードに考案されたオリジナルメニューがズラリと並びます。
”竜馬焼き(200円)”と命名された、パプリカで鶏肉を挟んだやきとりは同店の看板メニューのひとつ。真っ赤なパプリカを使用したのは、”赤・白・赤”の三色で構成されている”海援隊”(龍馬が結成した貿易結社)の旗をイメージしたからなのです。竜馬焼きは梅ダレをつけて食べると旨さ倍増なのですが、この梅も土佐藩を脱藩のお尋ね者である龍馬が頻繁に使っていた偽名”才谷梅太郎”の梅に由来するとか。齋藤さん、マジ仕事が細かいッス!
女性客に好評なヘルシー系の”竜馬鍋(1人前600円)”は、龍馬の好物だった鶏肉にシイタケ、ネギなどの野菜を加え、高知産のカツオだしで煮込んだ逸品。この龍馬鍋にももちろん龍馬への思いが隠されています。
1867年11月に京都・近江屋で、暗殺された坂本龍馬。実は龍馬の命日は彼の誕生日でもありました。刺客に踏み込まれる直前、龍馬の盟友だった中岡慎太郎が彼の誕生祝と称して、シャモ鍋を注文していたといわれているそう。しかし龍馬はシャモ鍋をひと口も食べることなく殺されてしまいます……。シャモ鍋を食べ損ねてしまった龍馬への供養の思いを込めて齋藤さんが考案したのが、まさにこの竜馬鍋なのです。
そのほかにも、妻のおりょうさんとの新婚旅行の際に持ち歩いていたカステラを専門業者と再現した”かすていら(200円)”や、”竜馬の夢(グラス600円)””おりょうの想い(グラス600円)””竜馬の海援隊(グラス600円)”といったのオリジナル焼酎各種を取り揃えるなど、エッジもとい”龍馬”の効いたこだわりメニューでお客の舌を満足させてくれるのです。
並々ならぬ龍馬愛で営業するお店の噂を聞きつけ、現在では龍馬好きが集まるコミニティとしての役割を担うようになった「竜馬におまかせ」。そこで齋藤さんは月に一回”竜馬の日”なるイベントデーを設け、参加者に店主が龍馬の一生をレクチャーしたり、龍馬関連ビデオの上映会などを行なっているんだそう。時には”龍馬識者”をゲストに呼んでトークショーも開催されます。
「『龍馬伝』が始まったことですし、今後も毎月竜馬講座を開いて、竜馬への思いを伝えていきたいですね」と齋藤さんの龍馬愛は天井知らずです! とはいえ、龍馬好きしか入れないお店では決してないのでそこはご安心を。さまざまなお客さんが集まる同店は、さながら藩と藩の枠組みを越えて明治維新へと駆け抜けた、龍馬ら幕末志士たちのよう……(多分)。『龍馬伝』を見て、ちょっとでも龍馬に興味を持った人は、この店に行けばいっぱしの”龍馬通”になれること間違いなし。
『竜馬におまかせ』
神奈川県横須賀市日の出町2-3
046-825-8727
15:30~24:00
不定休
坂本龍馬に魅了された人たちのマンパワーがカタチとなった龍馬スポット。どのスポットも龍馬を好きすぎるがゆえの突飛さやクセはかなり強いです。でも歴史的史実がどうこうと細かく追求するのはこの際、野暮ってもの。だって、残されている写真を見る限り、決してイケメンとは言いがたい龍馬を『龍馬伝』では福山雅治が演じているのですよ! 龍馬が常に夢描いていた”世界に通用する日本の国づくり”ような大きな心で各龍馬スポットを探訪していただければこれ幸いです!
(なかだゆうこ)
福山の龍馬ヘアは自毛ですか?
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