サイゾーウーマン海外全米のティーンが熱狂する『ハンナ・モンタナ』に見るリアル・アイドル像 海外 [連載]海外ドラマの向こうガワ 全米のティーンが熱狂する『ハンナ・モンタナ』に見るリアル・アイドル像 2009/07/27 21:00 ブリトニー・スピアーズヒラリー・ダフブルック・シールズ海外ドラマの向こうガワクリスティーナ・アギレラマイリー・サイラス 『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ ベストエピソード ハイスクール編』/ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント ――海外生活20年以上、見てきたドラマは数知れず。そんな本物の海外ドラマジャンキーが新旧さまざまな作品のディティールから文化論をひきずり出す! アメリカのアイドルは、ロリータっぽく「かわいい」イメージを全面的に出す日本のアイドルとは大きく異なり「自然体」「元気な優等生」「清純」が絶対的な要素となっている。というのもアイドル=大人のものではなく「子供たちの規範」と位置づけられているからだ。 しかし、そのイメージを持続できるアイドルは少なく、ハイ・ティーンになると、ブリトニー・スピアーズのように「あばずれ」になったり、クリスティーナ・アギレラのように「エロ」を前面に出したりと、アイドル路線から大きく脱線してしまうことが多い。 世間からの期待が大きい分だけ、プレッシャーに負けてしまったり、無理にアイドル脱皮を図ろうとするからなのであろう。ブリトニーとクリスティーナは、米ディズニー・チャンネルの人気番組『ミッキー・マウス・クラブ』がきっかけとなり、アイドルへの道を駆け上っているが、実はこのディズニー・チャンネル制作のオリジナル作品へ出演することが、アメリカにおけるアイドルへの登竜門となっている。 正統派アイドルの代名詞ともなっているヒラリー・ダフも同局の『リジー&Lizzie』で大ブレイクしているし、ハリウッド次世代俳優と称されるザック・エフロンも同局のTV映画『ハイスクール・ミュージカル』シリーズ出身。ティーン向けのアイドル雑誌の表紙を飾るのは、決まってディズニーが生み出した若きスターたちなのだ。 そんなディズニー・チャンネルで2006年3月、これまでにないビッグ・アイドルスターを生み出した『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』がスタートした。 日中は「学校に通う普通の女の子」だが、夜になると大勢のファンの前でライブ・コンサートを行う「全米で大ブレイク中のアイドル」へと大変身! そんな女の子なら誰もが憧れるストーリーが大うけし、番組はたちまち大ヒット。 「普通の女の子」と「アイドル」の2重生活を送っているためにぶちあたる問題を、「一般人」である親友の支えや「自身もミュージシャンであった」父親の無償の愛で乗り越え、清く正しく美しい女性として、そしてアイドルとして成長する姿を描いた本作品は、PTAも文句なしで太鼓判を押した。 主演はグラミー賞にノミネートされたことがある実力派カントリー・ミュージシャン、ビリー・レイ・サイラスの愛娘。父親譲りのハスキーボイスが魅力のサラブレッド、マイリー・サイラスである。 マイリーは、放送開始当時は14歳であったが、すでに落ち着いた雰囲気を持つ美少女であった。完璧なルックスと抜群な歌唱力の持ち主だが、ドラマの中では「変顔」&「コントのようなリアクション」を連発。たまにテネシー訛りが出たりと、庶民的で親しみやすく、全米のティーンが「マイリーと友だちになりたい!」「マイリーのようになりたい!」と夢中になった。 マイリーの父親、ビリー・レイも「父親役」として登場。理想的な父娘関係を繰り広げ、親世代からも支持されるようになった。また、マイリーの母親はすでに他界しているという設定だが、ディズニーの世界らしく「夢で登場し、アドバイスを与えたり、甘えさせてくれる」存在となっており、家族愛を大切にするアメリカ人の心をくすぐっている。 マイリーと「喧嘩ばかりするが、強い絆で結ばれている」お調子ものの高校生の兄を演じるのは、なんと32歳のジェイソン・アールズであり、思いっきりのよいキャスティングも放送開始当初は話題をあつめた。 なお、母親役を演じているのは娘が熱狂的なマイリーのファンだというブルック・シールズ。ブルックのほかにも、数多くの豪華ゲストが出演するのも同ドラマの特徴となっている。 日本でも7月17日にリリースされた『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ ベストエピソード ハイスクール編』は、女子高生になったマイリーを描いたシーズン2から選りすぐったエピソードを4話収録したも。その中身はマイリーと一時期交際していたジョナス・ブラザーズのニック・ジョナス、ニックを巡って一時期マイリーと対立していたとされるセレーナ・ゴメス、そしてアメリカ・カントリーミュージックの大御所ドリー・パートンがゲスト出演しており、ファンにとってはたまらないエピソード集となっている。 DVD、CD、関連グッズにコンサート、全てが記録的な売り上げをマークしており、アメリカで社会現象を巻き起こしている『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』。セミヌード騒動などはあったものの、マイリー・サイラスに関する決定的なスキャンダルはまだ出ておらず、来年アメリカで放送されるシーズン4でドラマが完結した後も、アイドルとして大活躍すること間違いなしだろう。 マイリーが、いつまで「子供たちの規範」でいられるのか、どのように成長するのか。これからも目が離せそうにない。 堀川 樹里(ほりかわ・じゅり) 6歳で『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』にハマった筋金入りの海外ドラマ・ジャンキー。現在、フリーランスライターとして海外ドラマを中心に海外エンターテイメントに関する記事を公式サイトや雑誌等で執筆、翻訳。海外在住歴20年以上、豪州→中東→東南アジア→米国を経て現在台湾在住。 『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ ベストエピソード ハイスクール編』 ブリトニーも出てきたころは、清純派だったのよ~ 【関連記事】 見ていてじれったい! 王道ラブストーリーの『グレイズ・アナトミー』 【関連記事】 サラ・コナーが21世紀の”強い女性”を体現した、TV版『ターミネーター』 【関連記事】 最終話が衝撃的!? ”母親不在”を乗り越えた『フルハウス』の魅力とは 最終更新:2010/01/06 21:47 次の記事 「これは打たなきゃカッコ悪いぞ」亀梨が語る、”野球武勇伝” >