サイゾーウーマンカルチャーインタビュー「毒親被害」に男女差はある? カルチャー 田房永子・音咲椿対談【前編】 毒親被害と「男女差」を考える――彼が切り裂きたかったのは“へその緒”だった【田房永子×音咲椿対談】 2019/06/25 15:00 安楽由紀子 マンガインタビュー田房永子 『「男の子の育て方」を真剣に考えてたら夫とのセックスが週3回になりました』(大和書房) 『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)ほか著書で、29歳のときに縁を切った母親との葛藤を描き、コミックエッセイで初めて「毒親」と呼ばれるジャンルを生み出し『「男の子の育て方」を真剣に考えてたら夫とのセックスが週3回になりました』(大和書房)を6月22日に刊行した田房永子さん。元彼の母が毒親で、一方的に婚約を破棄された経験を『私の彼が毒親から逃れられない!~婚約破棄で訴えてやる・番外編~』(サイゾーウーマン)で描いている音咲椿さん。音咲さんの元彼が毒親から逃げられなかったのはなぜか。毒親との関わり方に性差はあるのか。旧知の仲の2人が語り合った。 *** 田房永子さん(以下、田房) 音咲さんの元彼・Nさんって、2、3回会ったことがあるけど、どイケメンですよね! 音咲椿さん(以下、音咲) きれいな顔ですよね(笑)。でも残念な結果になってしまいました。決定的な事件は、お義母さんが「同居しろ」と言い出したことだったんです。私も彼も「同居はしない」と団結していたはずでした。なのに、いつの間にかNは寝返っていて……以来、彼に電話をしても着信拒否。すでに2年も同棲していたのだから、普通なら別れるときは2人で話し合って別れると思うんですが、一切なにも言わず、一方的に婚約破棄されました。 『婚約破棄で訴えてやる!』音咲椿/ウーコミ! 音咲 納得がいかず調停を起こしたら、お義母さんから「お宅とは婚約していませんから」と、“何もなかった”ことになって。お義母さんは「いますぐ50万円払え」といった無理難題を要求してきたり、彼の仕事(エロ漫画家)について「汚らわしい」と暴言を吐いたり……。彼が仕事できないくらい、ひどい状況だったんです。だから彼も、お義母さんから絶対に離れたいはずと思っていたのに、結局離れなかった。 田房 その手のお母さんって、かぐや姫みたいにありえない要求を課してくるよね。本当は50万円なんてどうでもいいんですよ。それは罠。Nさんが音咲さんのほうに行かないようにしているだけ。「自分のところにいなさい」という脅しだと思うよ。 音咲 やっぱりそうなんだ!? お義母さんは、『母がしんどい』のエイコのお母さんと似ていると思うんですよ。お義母さんは、以前は私を自分の実家の墓参りにまで連れていってくれて。「大好き!」「あなたは家族の一員ね」という感じで、接してくれていたんです。 田房 お義母さんが音咲さんのことを「好き好き」と言ったのは、「私の懐に入りなさい」と同じ意味だと思うよ。自分が知らないところで、Nさんと音咲さんが仲良くしているのは嫌。両方とも単独で自分が手に入れたい。でもその気持ちを自覚しているわけではないから、ハチャメチャなことになる。そういう人はその場の衝動と不安に突き動かされていて、心の中は常にパニック。だから他人を引っかき回す一方で、「お嫁さんと仲良く出かける義母でありたい」という思いもあって、周りは惑わされるんです。私の母もそういう感じだった。 『母がしんどい』(田房永子・KADOKAWA/中経出版)57ページより引用 田房 でも、今はお互い年を取ったのと、私が離れたことによって母もいろいろ考えたのかわからないけど、変わりましたね。離れることは重要。その人のパニックに巻き込まれている最中に「お互い落ち着きましょう」と言うのは無理だから。まず離れて、お互いが自分の本当の心を見つめる。その作業には10年くらいかかるんですよ。 音咲 私も10年間、怒りと悲しみがすごかった……。なぜあそこまでお義母さんに憎まれなければならなかったのか、今もわからないです。 次のページ 心理的には「殺人」が起きている 123次のページ Yahoo 関連記事 【毒親マンガ】印税が入ってくる!!「これで親孝行できるかな」彼の思いは…【26話】【毒親マンガ】彼母の行為は「DVの構造そっくり」!叩きのめされる彼に、私は…【24話】【毒親マンガ】月イチで「毒親被害」に遭う彼――四六時中、暴言を浴びせられ【23話】【毒親マンガ】「月に5万払え」なんて話が違う! 嫌がらせに電話攻撃、疲弊する彼【22話】【毒親マンガ】我が子の仕事を「よりによって」――夢を応援できない親なんているの?【20話】