【連載】別れた夫にわが子を会わせる?

離婚後、3.11を機に大阪に移住。昨年、8年ぶりに元夫に助けを求めた【別れた夫にわが子を会わせる?】

2017/06/24 15:00
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Photo by Ludovic Lubeigt from Flickr

わが子に会えない』(PHP研究所)で、離婚や別居により子どもと離れ、会えなくなってしまった男性の声を集めた西牟田靖が、その女性側の声――夫と別居して子どもと暮らす女性の声を聞くシリーズ。彼女たちは、なぜ別れを選んだのか? どんな暮らしを送り、どうやって子どもを育てているのか? 別れた夫に、子どもを会わせているのか? それとも会わせていないのか――?

第3回 中村珠美さん(仮名、40歳)後編

 中村珠美さんは、32歳のとき、勤め先の20歳年上のボスとの間に子どもを妊娠したことから結婚し、退職、子育てに専念する。ワーカホリックで多忙な夫は育児に非協力的で、かみ合わない日々の生活に疲れ果て、相手への情がなくなったため、別れを決意。対等でない関係のまま、夫の一方的な条件を受け入れ、離婚した。

(前編はこちら)

■余裕のない生活で、息子を会わせることまで考えられなかった


――離婚の際に取り決められたことは、実行されたんですか?

「お金を持っているはずなのに、一度も養育費が払われていません。自動振込の書類を銀行に提出すればいいだけなんですけどね。『手続きに行く時間がないって』と言い訳していました。そして、それだけではなく、さらに踏んだり蹴ったりだったんです。離婚前まで、退社したことになっておらず、それどころか私は彼の会社の役員というポストに置かれ、一銭ももらっていないのに、名目上は年収が600万円あることになっていたんです。そのため、離婚したその年の保育料は一番高めだし、ひとり親家庭に支給される手当(児童扶養手当)ももらえない。住民税も高い。本当は一銭ももらえてないのにですよ。子どもに会えない喪失感を彼も抱えていたとは思います。だけど、そんな状態がさらに彼への恨みのようになって、私もかたくなに会わせないという気持ちになっていました」

わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち