サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー女性誌の言う「ていねいな暮らし」ってなに? カルチャー [女性誌速攻レビュー]「リンネル」10月号 「ていねいに生きたい」から休日は美術館へ……どこか空虚な「リンネル」の企画 2013/09/12 16:00 女性誌速攻レビューリンネル 「リンネル」2013年10月号(宝島社) 「リンネル」(宝島社)は毎号、付録としてバッグが付いてきます。もちろん今月号も付いています。その上でさらに今月号は、本誌で「大人顔のリュック、そろいました」という企画が組まれていて、6ページにわたりリュックをズラーッと紹介しています。どんだけ袋が好きなのでしょうか! しかも、タイトルの「大人顔のリュック」という言葉に注目。「リンネル」はいつも「大人」という単語を多用しており、この企画でも、タイトルだけでなく文中でも乱用。「大人の女性のプレッピースタイル」「大人デニムスタイル」「レザーリュックで大人っぽく」「大人のスクールガール」「帆布×レザーストラップが大人っぽい」「大人ナイロン」と「大人」を連呼しています。付録のバッグを紹介する企画ページも「くつろぎ感のある大人のアーバンカジュアル」とタイトルが付けられていました。 「リンネル」の袋と大人への固執。その根底には、意外と複雑な感情があるんじゃないかなと想像しました。コンサバ系やモード系ファッション誌がエルメスなどハイブランドのバッグを紹介している中で、あえて付録に布バッグ、誌面ではアウトドアなリュックを紹介するということ。そこには、我が道をゆく「大人(=自立した女性)」を読者に持つという矜持があるように思います。裏を返せば、それは「大人」という言葉でラッピングすることで、読者に「私、安っぽい付録バッグなんて持ってていいのかしら……」という疑問やコンプレックスを抱かせないようにしているとも言えるようです。 <トピック> ◎大人顔のリュック、そろいました ◎パリに暮らすマチルドさんの大人かわいい暮らし方 ◎私の休日 行きつけの場所 ■異国感のないパリジェンヌのお部屋訪問 今月号では、「大人○○」というタイトルの企画がもう2つあります。1つは「上手に取り入れたい! 大人のレース」、そして「パリに暮らすマチルドさんの大人かわいい暮らし方」です。このマチルドさんという方、唐突に登場しているのですが、パリジェンヌのフリーランス編集者で、パートナーと8カ月の愛娘と3人でパリのアパルトマンに暮らしているそう。ファッションは「カジュアル・シック」で、モノプリ(スーパーマーケットの名称)で買ったワンピースを着たり、祖母から譲り受けた指輪をつけたりしています。パリジェンヌ、アパルトマン、シック、パリのスーパー、おばあちゃまから譲り受けた……元オリーブ少女にはたまらないフレーズが盛りだくさんで興奮します! ただですね、先月号も書いたのですが、パリに対してノスタルジックな思いはあっても、真の意味での憧れはもうない。というのも、着ている服の説明文を見たら、「ユニクロ」だの「H&M」だの、H&Mの高級ラインの「COS」だのと書かれているんですよ。インテリアも明記はされていませんが、どことなくIKEA風味です。幻想のパリジェンヌ感ゼロ。グローバリゼーションによって、パリは銀座線に乗って行ける距離くらいになっちまったようです。パリのメトロが東京メトロにつながっていたというね……。 12次のページ Amazon 「リンネル」 関連記事 “食べて買って遊んで”はNG! 窯元巡って行きつけバーを作る「リンネル」旅特集梅仕事&トイレ用ホーロー鍋、不要にコンプクレックスを刺激される「リンネル」生活ライブに犬の散歩……「リンネル」推奨の浴衣シーンが謎すぎ!フォーマル白装束もカタカナ職業も……「リンネル」の“私らしい”は安易過ぎ!ゴリゴリにとがった自己顕示欲を隠す、「リンネル」の“ほっこり”白アイテム