今井舞の「週刊ヒトコト斬り」

芥川賞作家にもトレンドが? ”変わり者”のキャラ立ち路線で狙う先

2012/01/20 21:00
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『共喰い』(集英社)

――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!

◎また仕掛けてんのか
 受賞の際のセンセーショナルな会見が話題の芥川賞作家・田中慎弥。「都知事閣下と都民各位のために、もらっといてやる」は早くも今年の流行語大賞候補との呼び声も高い。西村賢太の「そろそろ風俗に行こうかなと」以来、最近の芥川賞は、一昔前の「カワイコちゃん、美人路線」からガラリと変わって、「変わり者」という新機軸を打ち出していると思う。本当に、今本売れてないらしいから。キャラ作家立てて話題の一つも作らんと、どうにもこうにも。ってこれ、また電通の差し金じゃねぇだろうな。
 それはともかく、石原都知事とのやり合いなんかを受けて、実際各マスコミとも今「田中慎弥を押さえろ!」の動きが今水面下でスゴいことになっていると思う。『メレンゲの気持ち』(日本テレビ系)とか『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に出て、異分子テロリストがバラエティーの予定調和をブチ壊すさまを見てみたくもないが。どうせすぐマスコミに嫌気がさして、ぱったり出なくなりそうだな。でも田中さん、ぜひ『アウト×デラックス』(フジテレビ系)だけは出演して下さい。あれだけは悪いようにはしませんから。西村賢太さんからも説得お願いします。

◎スッキリ……はしないか
 これはちょっと、あまりにもどうでもいい話だよな、と思って、書くのを控えていた小ネタがある。でも、もうウズウズするので書く。
 いとうあさこと、レイザーラモンRGって似てないか? 目尻のすぼみ方、鼻のアーチのラインといった顔つきはもちろん、モアッとした髪の質や、ザラついた肌の感じなんかもそっくり。違うのは売れ方だけ。いとうあさこは売れてるが(何でだ)、でも、売れてる方も売れてない方も、華のなさはぴったり一緒。どうだろう。残尿感が取れてスッキリしてるのは私だけか。


◎「盛り」は必要

 バーゲン会場に並ぶ、華のない女性客たちにそっと近づく向井理。「キャー」と喜ぶ彼女たちに「冷えで困る人」と問いかけ「ハーイ」という全員の挙手を受けて「だったらバブ」とおもむろにフリップを掲げる、という意味不明に強引な入浴剤・バブのCM。昔の「ラーマ奥様インタビュー」を思い起こさせる懐かしい作りであるが、「ラーマ」があくまで登場する奥様たちを「本当の一般人」に見せようと演出していたのに対し、こちらはそのベクトルは毛ほども感じられない。「黄色い声をあげて迎えられる向井理」を演出するためだけに、「バーゲン会場でキャー」という設定が組まれているわけである。これ、向井理ファン以外は見ててものすごくこっ恥ずかしいし、向井理ファンも、別の意味でこっ恥ずかしいんじゃないだろうか。肝心の本人もちっともカッコよく見えず、三方損してる気がする。
 さらに辛いのが、炭酸効果を説明するシーンの向井理が、片手をずっと股間に置いてる点。他にいくらでも手の持ってきどころはあるだろうに、なぜそこに置く。何かこの人、CMとかで「数歩動きながら説明する」とか「ゆっくり手を開きながら商品を見せる」なんてリアクションが、いちいちぎこちないんである。純粋に下手。人一倍イケメン人生送ってきたもんで、「自分をカッコよく見せる」という「盛り」のメンタリティーに欠けてる感じがする。たいしてカッコよくもないのに、メンタリティーだけはイケメン、というジャニーズの教育方針は、「即戦力」という点ではなるほど使い勝手はいいのかもしれない。
 向井理の事務所は、イチからこんこんと、しらける向井に「盛り」の作法を教えておいた方がいいのかもしれない。とりあえず、素材のよさを殺しかねないレベルの「下手」は、返上するに越したことはない。

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今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)など。

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最終更新:2019/05/22 19:23