サイゾーウーマンカルチャーインタビューとにかく”嫌いの輪郭”を持て! 教養がこれからの女を救う!? カルチャー 『四十路越え!』刊行インタビュー とにかく”嫌いの輪郭”を持て! 教養がこれからの女を救う!? 2011/01/11 11:45 インタビュー パワフルでリアルな言葉の数々を繰り出す湯山玲子氏 (前編はこちら) ――年下に何かを教え込んでいくためにですか? 湯山 いや、遊びのひとつ、大いなる無駄な行為として、こういうことのために人生がある、と私は考える、いわば遊び肯定主義です。と言うと、「バブル世代だから」と短絡する人がいますが、バブルの遊びは単に世相に流された人々のそれであって、遊ぶ人生とは関係がない。年収300万でも遊べますよ。チャリンコでクラブ行って、シャンパン一杯で朝まで粘ればいいでしょ? 「工夫して遊ぶ」ってそうことだと思うんだけど、閉じこもったままで楽しいことに目を向けない人が多いよね。 私から見たら30代、40代の女ってすごくパワーあるんですよ。それがこの本で言いたかった一番のメッセージ。本当はパワーがあるからグッとアクセルを踏み込みたいし、踏み込めばどこまでも行けるのに、同性や異性の目、メディアの物言いなんかが抑圧になって無理矢理ブレーキかけちゃってる。スピードを上げたいのに同時にブレーキかけてるから、ブスブスブスッ! てもう車体に負担がかかってしょうがないわけ。そのせいで事故っちゃったりもするし。だからもうブレーキを外した方がいいですよね。アクセル踏むことで悪いことなんてない。事故っても、その痛みや傷が後半生のいい学びになっていくと思う。 ――恋愛依存になりすぎるな、ということも書かれてますが、湯山さんご自身は恋愛依存になって困った時期というのはあったんですか? 湯山 ありますあります。大学生の時に、32歳ぐらいの年上の業界人にハマったのね。今思うとアラサーの若造なんて子ども同然なんだけど、彼は私を自分色に染める、”じゃじゃ馬ならし”みたいなことをしてきた。私はすごく振り回されて、「スカートはかないの?」って言われれば上から下まで揃え直したり。彼は自分の周りの輝いてるの女たちと私を比較しては、「お前って口ばっかりだよね」とか、すごく意地悪な言い方で言う。私はそれを「ハイ、ハイ」って聞いてるうちに、どんどん自信がなくなっていった。一種の洗脳だよね。 でもある時、とあるレストランでテーブルの上のロウソクの火を見つめながら彼の説教を聞いてるうちに、ふと正気に戻って、相手がトイレに行った瞬間にそこからトンズラしましたよ。滅私奉公タイプの恋愛は、百害あって一利なし、とその時ツカんだ。 ――「私が恋愛に求めてるのは、これじゃない!」と。 湯山 恋愛でグワーッと盛り上がってる時のセックスは確かに最高なんで、まあ、そこらへんぐらい(笑)。その周辺においしいメシとか、高い和風旅館やワインとかがついてたらもの凄い幸福度で! って身もフタもないことを思ってる。でも、それって渡辺淳一センセイ描くところの世界じゃないか、と(笑)。 ――楽しい四十路を迎えるために、今二十代や三十代の女性はどういうことをしていけばいいんでしょう? 湯山 オモロイ女になって欲しいですね。そこそこ小ぎれいな女、性格が良い女というのは掃いて捨てるほどいるけど、モノの考え方に独自の視点があったり、いろんな話題の引き出しがあったり、何よりも人を爆笑させてくれるような痛快な女は少ない。女の人は勉強好きだけど、そういった、オモロイ女を形作る教養には、あんまり結びついていかない。それにはまずは、「嫌いの輪郭」を持った方がいいです。否定的な感情は「心に悪いから」なーんて言って、これまた綺麗事で遠ざける女性も多いでしょ。だけど、趣味やセンスって実は「嫌い」の輪郭なんですよ。「名作だって分かってるけど、どうしてもダメ」とか、「歌舞伎は演歌っぽくて嫌」とかね。その自分の「嫌いの輪郭」がどのへんにあるのかは、浴びるように大量にものごとに触れないと分からない。本を買ったり、映画でも音楽でも、旅行でもグルメでもとにかく浴びるように量をインプットして欲しいですよ。睡眠時間は三時間ぐらいでいいから、無理してそういうインプットをやると、自然と考え方や精神に筋力が付きます。「無理しなくて、アナタは今のままで充分素敵だよ」という愛に満ちあふれた助言は、ある意味、そういった潜在力を無き者にする”罠”でもある、と気がついてほしいですね。 (雨宮まみ) 湯山玲子(ゆやま・れいこ) 1960年生まれ、東京都出身。著述家、ディレクター。日本大学藝術学部文藝学科非常勤講師。編集を軸としたクリエイティブ・ディレクション、プロデュースを行なう。著書に『クラブカルチャー!』(毎日新聞社刊)、文庫『女ひとり寿司』(幻冬舎刊)、『女装する女』(新潮社刊)など。自らが寿司を握るユニット「美人寿司」も主宰し、内外で活躍中。 『四十路越え!』(ワニブックス) 四十路越えは「人生の大仕切り直し」時として重要な時期。この迷える世代が、それを迎えるにあたって必要となる女性の新しい戦術を、恋愛、セックス、健康、美容、仕事をトピックにリアルにパワフルに書き綴ったエッセイ。 【この記事を読んだ人はこんな記事を読んでいます】 ・「小娘にはない”お母ちゃん感”で男を包む」、岩井志麻子が語る”中年の恋愛” ・「ボーイフレンドを作って出て行った」内田春菊が明かすセックスレス体験 ・58歳も在籍! 夢を追う熟女アイドル「サムライローズ」が鮮烈デビュー! 最終更新:2011/03/13 17:41 次の記事 「婦人公論」で安部譲二が海老蔵に「酒乱は治らないから……」と助言 >