サイゾーウーマンカルチャーインタビュー「コミックで儲ける雑誌にしたくない」、女性作家による青年誌「ガールズジャンプ」が誕生 カルチャー 青年誌における女性読者争奪戦 「コミックで儲ける雑誌にしたくない」、女性作家による青年誌「ガールズジャンプ」が誕生 2010/12/16 11:45 インタビュー 「ガールズジャンプ」(集英社) 12月15日、「スーパージャンプ」(集英社)の増刊として、女性作家だけが執筆する「ガールズジャンプ(以下、Gジャン )」が創刊。”ジャンプ”という冠がつく女性向けマンガ誌に、「FEEL YOUNG」(祥伝社)や「モーニング」(講談社)などで連載中の作家陣が集ったことで、発売が報じられた際にはネット上でも期待と不安の入り混じった声が上がっていた。そこで、「Gジャン」の狙いについて、企画立ち上げから携わってきた、「スーパージャンプ」編集部の増澤吉和氏に聞いた。 ――まず、今回「Gジャン」誕生の経緯を教えてください。 増澤吉和氏(以下、増澤) 「Gジャン」の一番の狙いは、集英社の青年マンガ誌に女性読者をつけることです。青年誌の評価が高い講談社さんを意識して作ったのかと聞かれるんですけど、意識してないといえばウソになりますが、「ジャンプ」の青年誌部門をもっと多くの女性に読んでもらいたいという思いのほうが強いんですよね。「少年ジャンプ」を読んでいる女性はたくさんいますが、「ヤングジャンプ」「スーパージャンプ」「ビジネスジャンプ」など、青年向けの「ジャンプ」には女性読者が少ないですから。 ――男性読者から圧倒的な支持を得ている「ジャンプ」というブランドを持ってしても、女性読者の獲得は必須なんですね。 増澤 市場を見ても、女性読者は無視できません。これは「スーパージャンプ」の話ですが、読者アンケートを見ても女性読者は全体の1割程度。なので、20~30代の女性が集英社の青年誌を読むきっかけになってくれればいいなと。とはいえ、ターゲット読者は女性に限定しているわけではありません。今は面白ければ性別関係なく、作品を読んでもらえる時代。描いているのは全員女性作家ですが、男性読者も楽しめる作品ばかりです。 ――「Gジャン」発売の報道にあたり、ネット上では執筆陣の顔ぶれと「ジャンプ」の冠がついたことに、驚きの声を挙げている人も多いように見かけました。 増澤 僕の中には「ジャンプ」を付けないという選択肢はなかったんですよ。というのも、集英社が出す青年誌はすべて「○○ジャンプ」という名前ですし、その分の期待やケンカは買おうと思ってます(笑)。今、業界内で多い「雑誌はそこそこの部数だけに抑えて、コミックで儲ければいい」という作りの雑誌にはできないし、したくなかったんですよ。今回の「Gジャン」は増刊ですし、掲載された読みきりもいつ単行本に収録されるか分からない。だから、この「Gジャン」でしか読めないし、雑誌そのもので楽しんでいただきたいなと。 ――確かに総勢22人の作家ラインナップを見てみると、山下和美、ねむようこ、朔ユキ蔵、渡辺ペコ、柏木ハルコと、そうそうたる顔ぶれですよね。集英社さんは「りぼん」~「オフィスユー」までの女性向けマンガ誌も細かくラインナップがありますが、それとの差別化というのは? 増澤 「Gジャン」はガールズといいつつ、青年誌ですので、女性向けマンガ誌とは違うものだと認識してますね。それに、作家さんも現在集英社のマンガ誌で描いて頂いているのは数人だけです。今まで集英社でお付き合いのなかった人と仕事をするというこの雑誌の大きな意義も踏まえて、僕が”今、読みたい”と思う女性作家さんに声をかけさせて頂きました。 ――恋愛ものにファンタジー、ギャグ……と、バラエティーに富んだ内容の作品が掲載されていますが、雑誌全体のコンセプトは? 増澤 自由に描いていただいています。ただ、作家さんたちが「せっかく『ジャンプ』と名のつく雑誌に描くのだから……」と言ってくださって、ご自身の抱く「ジャンプ」のイメージに近づいて描いてくださった印象が強いですね。だからトンガリすぎたものはそれほどなく、誰が読んでも分かりやすく楽しめるマンガになっています。そこまで細かい打ち合わせをせずに、皆さんに感性で描いて頂きました。青年マンガの場合、編集者がストーリーを作り込んで、マンガ家さんに作画してもらう……という、編集者の企画性ありきな部分が多いんですね。でも個人的には、そのやり方ってちょっと古くないかと考えていて。その点、女性作家さんたちはどちらかというと感性で描くので、「Gジャン」ではそういう意味で自由に描きたいものを描いていただきたいという思いが強かったんです。 ――講談社の「モーニング」など、女性読者も視野に入れたライバル青年誌では、よしながふみや中村明日美子、オノ・ナツメなど、女性BLマンガ家が活躍しているケースが多く見受けられますが、「Gジャン」には意識的にBL要素を外しているんですか? 増澤 BL作家にBLマンガを描いてほしいとは思っていませんが、NGではありません。今回も、このラインナップによしながふみ先生やオノ・ナツメ先生が入っていても面白いなあと思います。2号目にはBL作家の作品も掲載したいと思っているので、創刊号を読んで「なんで私に描かせてくれなかったの!? 悔しい!」というBL作家さんがいらっしゃったら、編集部にお電話ください! 本当にご連絡待ってますから!(笑) ――「Gジャン」の表3には、2011年5月に「ジャンプ」の冠がついた新雑誌が創刊されるという告知が掲載されていましたね。もしかしてこれは……? 増澤 これは「Gジャン」ではないんですが、現在、絶賛制作中です。こちらも女性向けマンガ誌というわけではありませんが、女性にも多く読んでもらいたいですね。お気軽なパンチラエロなどがない、オトナの純粋マンガ誌になる予定です。”お、マジで!?”と驚いてもらえるような作家さんも揃えているので、楽しみにしていてください! (遠藤麻衣) 「ガールズジャンプ」 「マンガ誌、しばらく読んでないな~」って人へ。 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・「いつの時代も王道を欲してる」折原みとが語る、少女マンガの萌えポイント ・新條まゆが監修! BL、声優好きの心をくすぐる携帯コミック「声マン」とは? ・異例の4社合同フェアでデビュー、業界注目の漫画家・河内遙って? 最終更新:2011/03/13 17:43 次の記事 一年で4本の記者会見! 市川海老蔵の経済効果は20億円 >