閉店ラッシュの高級スーパー【ザ・ガーデン】、行ってわかった絶好調「成城石井」との大きな違い
閉店ラッシュが起こっている高級スーパー「ザ・ガーデン自由が丘」。セブン&アイホールディングス傘下の食品スーパーです。
目次
・【ザ・ガーデン】とは? 閉店ラッシュ、半年で閉店のケースも
・行ってみた!
・魅力のない総菜コーナー
・【ザ・ガーデン】まさに迷走中
【ザ・ガーデン】とは? 閉店ラッシュ、半年で閉店のケースも
セブン&アイホールディングス傘下の株式会社シェルガーデンが運営する高級スーパー「ザ・ガーデン自由が丘」。
このところ閉店ラッシュで、2024年になってから5店がクローズ。代官山店は23年12月にオープンしたものの24年7月に撤退するというスピード閉店です。さらに、2月には店名の由来にもなった本店、自由が丘店が閉業しています。
1966年に自由が丘で1号店をオープン後、店舗数を拡大。西武池袋本店のデパ地下をはじめ、そごうなど百貨店への出店が特徴です。しかし、近年はルミネやアトレなど駅ビルが中心になっています。
業績は非常に厳しく、24年2月期決算は純利益マイナス18億1,200万円で赤字が拡大。21年から慢性的な赤字状態で、その額も年々拡大しています。
【ザ・ガーデン】行ってみた!
ルミネの地下に入っているザ・ガーデン大船店へ行ってきました。平日の午後2時すぎ、上階の飲食店が賑わっていたのに対し、店内の客足はほどほど。客層は高齢者といえる人々がほとんどです。
ザ・ガーデンの形態は、生鮮食品を取り扱わず品目を絞った小型店や、生鮮食品を専門の他社に委託する店舗など複数あるそう。今回の大船店は、鮮魚、精肉、青果は他社が扱っていたので、ザ・ガーデンの売り場はかなりコンパクトです。
狭い店内をぐるりと見て回ったところ、価格帯はやはり高級路線。最安の卵で10個入り321円、牛乳332円という相場感で、筆者にはまるで手が出ません。プライベートブランドは展開していないようで、親会社のセブンプレミアム商品が充てられています。といっても、ハムや調味料、お菓子と限定的な展開にとどまり、高級スーパーの印象をキープしている印象。
壁一面を使った調味料コーナーは、「煎り酒」など一般のスーパーで見られないものも並び見応えがあります。ただ、同じく高級品を扱うピーコックほどの気合は感じられません。
そんな中で目を引いたのは、レトルトの「しじみみそ汁」。筆者は青森県のアンテナショップなどで同商品を見つけると購入しているのですが、スーパーで見かけることはめったにないので、少しテンションが上がりました。
コーヒーコーナーには、スーパー「ロピア」のオリジナルブレンドも出している丸山珈琲も発見。「もしかして、ザ・ガーデンオリジナルブレンドかな?」と期待するも、通常商品でガッカリ……。
しかし続いて「宮内庁御用達」の文字が輝く、キンキラキンのドリップコーヒーに目が釘付けに。やりすぎなパッケージに高級感をビシビシと感じます
冷凍食品コーナーで目を引いたのは、長野県「小川の庄」の縄文おやきと小豆島「うす家」のうどん。
うす家は成城石井やヴィルマルシェ(イオンの高級スーパー)や三徳でも取り扱う商品なのですが、縄文おやきはスーパーで初めて見ました。筆者は普段お取り寄せしているので、ここで買えるのかと驚きです。
【ザ・ガーデン】魅力のない総菜コーナー
最後にスーパーの花形にあたる総菜コーナーをチェック。なぜか天ぷらの品揃えが豊富で、なんらかのフェアを展開しているのか、客のニーズに合わせているのかもしれません。
ほかに特徴的な総菜は率直に言って皆無。天ぷら、おむすび、サラダ、デリ、麺類、折り詰め寿司などが並んでいるものの、コーナー全体が迷走している印象。パッケージのデザインがバラバラなせいか、陳列が独特なせいかわかりませんが、食欲を刺激するものがなく、途方に暮れました。
総菜の製造はタカラ食品がメインで手掛けているようですが、いなり寿司はヨーカドーの総菜ブランド「ヨーク・デリ」、おむすびはまた別の会社。駅弁で知られる東華軒や大船軒の弁当や、とんかつまい泉のかつサンドも並んでいます。
ザ・ガーデンらしいものを一品買って帰ろうと思っても、なにが「らしさ」なのかが見えず、 結局最安だったタカラ食品製造のキャロットラペ129円を購入。
ところが、帰宅後に調べたところ、タカラ食品はルミネ大船に出店している独立した総菜屋だったことが判明……。ザ・ガーデンのエリアに置かれていたものの、同店の商品ではなかったようです。
【ザ・ガーデン】まさに迷走中?
今回訪れたザ・ガーデンへの所感は「迷走」。ピーコック、成城石井でも見たことある商品が見つかる一方で、ザ・ガーデンらしさはつかめませんでした。
ピーコックも赤字スーパーなので高級スーパー自体が終焉しつつあるのは明らかですが、方や成城石井が絶好調の理由を考えると「総菜力」がキーなのは間違いないでしょう。
悪い言い方になりますが、ザ・ガーデンもピーコックもバイヤーがセレクトした食品を置くだけ、他社や関連会社が作った総菜を並べるだけの姿勢が共通していると今回、気付かされました。
ザ・ガーデンが自社の魅力を打ち出したオリジナル総菜を並べることができたら、客が増えることはあっても減ることはないと思うのですが……。閉店ラッシュがどこまで続いてしまうのか、気になるところです。