【日清カップヌードル】全11種、管理栄養士がチリトマトヌードルを選ぶ理由は?
1971年9月18日に発売になったカップ麺の王道、日清カップヌードル。誕生から53年がたち、現在そのシリーズは実にさまざま。そこで今回は、管理栄養士の猪坂みなみ先生に、栄養バランスから見た日清カップヌードルのベスト3を教えてもらいました。
目次
・カップラーメンの栄養面の特徴
・日清カップヌードル全11種類の解説
・カップヌードルの新作「燻製チーズのチリトマト」の特徴は?
・おすすめベスト3はコレ!
※2024年3月15日公開の記事を再編集しています。
カップラーメンの栄養面の特徴
――はじめに、カップラーメンの栄養面の特徴を教えてください。
猪坂みなみ先生(以下、猪坂) カップラーメンとは、一般的には小麦粉から作った麺を、油で揚げるなどして水分を減らすことで日持ちするようにした食品です。そのため、栄養面で見ると糖質と脂質が多く含まれるという特徴があります。また、スープがあるため塩分もたくさん含まれていることが多いです。
――カップヌードルシリーズを見て、率直に商品のバリエーションはどうでしょうか?
猪坂 非常にたくさんの種類がありますね。洋風から和風、甘めのものから辛いものなどさまざまな好みに応えられる豊富なラインナップなのではないでしょうか。
日清カップヌードル全11種類の解説
――さっそく、定番の3種類「カップヌードル」「カップヌードル カレー」「カップヌードル シーフードヌードル」について栄養面の特徴を教えてください。
カップヌードル:全11種で最もたんぱく質とビタミンB2が多い
猪坂 こちらの商品は、今回の対象品の中では一番たんぱく質とビタミンB2の含有量が多い商品です(たんぱく質は10.5g、ビタミンB2は0.32mg)。たんぱく質は、筋肉やお肌、髪の毛、爪などの材料となるもの、ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康維持を助けてくれる栄養素です。たんぱく質やビタミンB2の摂取を意識したい人はこちらの定番商品を選ぶと良いでしょう。
カレー:全11種で最も炭水化物が多い
猪坂 今回の対象の中では最も炭水化物の含有量が多い(50.6g)商品です。ほかの商品にも平均して46gくらいは含まれているので、そこまで気にする必要はありませんが、できるだけ炭水化物の摂取量を控えたいという人は避けると良いでしょう。
シーフードヌードル:全11種で一番低カロリー
猪坂 今回の選択肢の中では、比較的たんぱく質と炭水化物が少なめである分、一番低エネルギー(340kcal)な商品です。また、ビタミン類もほかの商品よりも多めに含まれています(ビタミンB1は1.01mg、ビタミンB2も0.31mg)。そのため、できるだけ摂取エネルギーを抑えたい、ビタミン類も多いほうがうれしい、という場合はこちらの商品を選ぶと良いでしょう。
――続いて、次の3種類の特徴を教えてください。
チリトマトヌードル:ビタミンB1が最も多い
猪坂 比較的、脂質と炭水化物、塩分が少なめで、エネルギーもやや低めの部類(354kcal)です。また、糖質をエネルギーに変換するのに必要な栄養素であるビタミンB1は、今回の選択肢の中で最も多く含まれています(1.45mg)。香辛料が入っていて交感神経を活発にしてくれるので、食後に活動するお昼などの時間帯に食べると良いでしょう。
ねぎ塩:塩分がかなり多め
猪坂 ほかの商品と比べるとたんぱく質が多め(9.2g)で、脂質と炭水化物はやや少なめ。塩分は5.4gとかなり多めなので、スープは全部飲み切らずに残すようにすると良いですね。女性の1日の塩分摂取の目標量は6.5g未満です。
欧風チーズカレー:牛乳コップ半分強と同じカルシウム量
猪坂 3種のチーズが配合されたチーズパウダーが入っている分、ほかの商品と比べるとカルシウムが124mgとやや多めに含まれています。これは、牛乳コップ半分強に含まれるカルシウムと同じ量です。ただし脂質が多い分、エネルギーも420kcalと少し高め。気になる人はスープを残して調整すると良いでしょう。
――最近発売になった、味噌、辛麺、坦々についても教えてください。
味噌:たんぱく質とカルシウムがやや多め
猪坂 今回の対象品の中では、たんぱく質(9.1g)とカルシウム(171mg)がやや多めです。生姜やニンニク、山椒などの特徴的な食材でアクセントがついているため、独創的な和風の味を楽しみたい人におすすめです。
辛麺:11種で最も塩分が多い
猪坂 焙煎唐辛子が入っている分、味付けはかなり辛めになっています。唐辛子には、脂質代謝を高める効果が期待されているカプサイシンが含まれますが、一度体温を上げた後、体を冷やす働きもある(汗が蒸発するときに体温が下がる)ため、食べた後は汗をしっかりふくようにすると良いでしょう。
また、しっかりとした味つけで、今回の商品の中では最も塩分が多く含まれています(5.7g)。スープだけで3gになるので、気になる人は全部飲まずに残すように意識してください。
坦々:たんぱく質が多め
猪坂 たんぱく質が10gと、ほかの商品よりも多めに含まれているのが特徴です。カシューナッツやザーサイなど、食感がしっかりした食材が入っているため、噛み応えがあり、早食いを防止できそうですね。
にんにくや唐辛子、花椒、しょうが、胡椒など、アクセントのある食材が含まれるので、飽きずに食べられるのではないでしょうか。
カップヌードルの新作「燻製チーズのチリトマト」は?
――最後に、昨年11月発売の「北海道濃厚ミルクシーフー道ヌードル」と、今年2月5日に登場した新作「燻製チーズのチリトマト」についてお願いします。
北海道濃厚ミルクシーフー道ヌードル:ビタミンやミネラルが多め
猪坂 北海道産の粉乳が含まれている分、カルシウムが多めに含まれています(121mg)。また、ビタミンB1とビタミンB2も比較的多めですので、ビタミンやミネラルの摂取を意識したい人におすすめです。
燻製チーズのチリトマト:11種で最も塩分が少ない
猪坂 今回の選択肢の中では最も塩分が少ない(3.7g)ため、高血圧やむくみが気になる人はこちらの商品を選ぶと良いでしょう。たんぱく質や脂質、炭水化物も全体的に少なめなので、エネルギーもその分低め(347kcal)です。たんぱく質は7.7gしか含まれないため、ゆで卵などほかの食材を組み合わせて食べると良いですね。
おすすめ1位は定番のカップヌードル!
――これら全11種類の中でおすすめの3つと理由を挙げてください。第3位は?
猪坂 チリトマトヌードルです。冒頭で、カップ麺は脂質と炭水化物、塩分が多めだとお伝えしましたが、この商品はそれらの成分が比較的少なめである点が良いと感じました。糖質の代謝にかかわる成分であるビタミンB1が最も多く含まれる点も高ポイントです。
――第2位は?
猪坂 シーフードヌードルです。カップ麺といえば特に脂質が多いというイメージがあると思いますが、この商品は今回の11種類の中では最も脂質が少ないという特徴があります。
例えば脂質の多い坦々は22.4g(=約200kcal分)含まれていますが、シーフードは13.6g(=約120cal分)なので、脂質の摂り過ぎを防止したい人に特におすすめです。エネルギーも340kcalと低めなので、「ダイエット中だけどたまにはカップヌードルが食べたい!」という人も罪の意識を感じず安心して召しあがれるのではないでしょうか。
――第1位は?
猪坂 定番のカップヌードルです。不足させたくない栄養素であるたんぱく質が最も多く、反対に過剰に摂取したくない脂質は少なめなので、全体的にバランスが最も良いと思います。また、脂質などの代謝にかかわるビタミンB2が一番多く含まれるのもうれしいポイントですね。