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150店以上から絶滅危機の【さくら水産】、お刺し身は満足度十分! でもランチを食べてテンションダウンのワケ

2024/07/21 15:30
阿左美賢治(ライター)
「さくら水産」の置き看板(写真:サイゾーウーマン)

 かつては全国に100店舗以上を展開していたものの、現在では店舗数が激減してしまった居酒屋チェーン「さくら水産」。かつて同チェーンのリーズナブルなランチの魅力にとりつかれ、足繁く通ったグルメライターが、“激変”してしまったというランチを実食し、現在の同チェーンについてレビューしてみました。

目次

【さくら水産】現在わずか13店舗、絶滅危機に
最安1,100円のランチメニュー
「魚河岸お刺身5点盛り定食」(1,350円)実食
【さくら水産】お刺身に関しては十分満足! だけど……

【さくら水産】現在わずか13店舗、絶滅危機に

「さくら水産」の店舗入口(写真:サイゾーウーマン)

 かつて、激安系の居酒屋チェーンとして人気を集めた「さくら水産」。株式会社テラケンが1995年に東京都千代田区に1号店をオープンして以来、低価格で楽しめる海鮮居酒屋として顧客のハートをがっしり掴み、最盛期となる2010年近辺には150店舗以上を展開していました。

 しかし、その後経営は苦境に立たされ、15年1月にはPEファンドであるアスパラントグループ、2019年3月には飲食チェーンを展開する株式会社梅の花と2度にわたり買収される事態に。

 後者の買収の際、過去のテラケンの営業利益が梅の花から発表され、16年2月期で1億6800万円の赤字、17年2月期が1億6600万円の赤字、18年2月期が2億6500万円といずれも赤字であったことが話題となりました。

 その後、テラケン単体での営業利益については、20年4月期に純利益が1億7526円であったことが官報決算をまとめるデータベースサイト「官報決算データベース」に掲載されています。

 公式ページによれば、買収当時全国39店舗であった店舗数は現在では13店舗とさらに減少しており、絶滅危機といえる状態。

 そんな「さくら水産」は今、どんな店になっているのか――。そんな疑問を抱いた筆者は、同チェーンの店舗を訪れ、その実力を確かめてみることとしました。

【さくら水産】最安1,100円のランチメニュー

タブレットに表示されたランチのメニュー表(写真:サイゾーウーマン)

 実のところ、筆者は会社員として働いていた期間が、まさに「さくら水産」の勢いがあった時期であったことから、そこそこの頻度で通っていた1人です。

 とはいえ、居酒屋営業ではなく、主にランチタイムに定食を食べに行くというのが主な利用方法でした。さらに遡れば、学生時代に50円という破格すぎる値段で販売されていた「魚肉ソーセージ」を筆頭とした激安メニューをつまみに、友人と居酒屋としての利用をしていた時期もありましたが……。

 当時はなんと500円(税込み、以下同)でランチ定食が食べられ、かつご飯や味噌汁、卵がおかわり自由という良心的なランチが提供されていたため、ワンコインでおなかいっぱい「卵ご飯」を食べられる店として重用していたのです。

 しかし、近年ではこの500円ランチが廃止され、高めの価格帯になっているとさまざまなメディアで報じられており、「もうワンコインじゃないのか……」と複雑な思いでいたのですが、実際に店舗でタブレットのメニュー表を開いてみてビックリ!

 ランチメニューで一番安いのが「漁師の漬け丼」の1,100円と3ケタ円のメニューは存在せず、最も高い「本日の魚魚魚三昧定食」では1,500円と、かつて提供されていた500円ランチの3倍の値段となっていたのです。

 以前とのギャップもあってか、値上げラッシュの昨今であっても、ランチとしてはかなり強気の値段設定だと感じました。サイドメニューでは刺身の小鉢やアジフライが430円と、こちらも少し強気な価格です。

サイドメニューも強気?(写真:サイゾーウーマン)

質より量がウリがだった【さくら水産】

 少しあけすけな言い方をすると、筆者が通っていた頃の「さくら水産」が提供していたランチは、あくまでも質より量がウリというイメージがあり、その圧倒的な安さを求めてランチを食べに行っていたことは確かです。

 一方、現在のランチでは、一定以上のクオリティを求めざるを得ない価格であると言えます。メニュー表を見た当初こそ戸惑っていた筆者でしたが、「この値段ということは、実はかなりおいしいんじゃないの?」と、少しワクワクするような気持ちを抱きながら、一番人気とメニュー表に記載のあった「魚河岸お刺身5点盛り定食」(1,350円)をオーダーすることにしました。

 なお、500円ランチの時に食べ放題だった卵はないものの、ご飯と味噌汁は食べ放題。タブレットでオーダーして店員さんが持ってきてくれるシステムとのこと。

【さくら水産】「魚河岸お刺身5点盛り定食」(1,350円)実食

 商品が提供された時、筆者が抱いたのは「え? 『さくら水産』なのに豪華すぎない?」というちょっと失礼な感想。

「魚河岸お刺身5点盛り定食」の全体像(写真:サイゾーウーマン)

 大皿に1種類につき2切れずつ盛られたお刺身の5種盛り合わせ。店員さんに聞いたところ、この日の盛り合わせはインドマグロ、カンパチ、真鯛、ひらめ、若ぶりとのことでした。

刺身は鮮度も抜群で、値段を考えても満足度は十分(写真:サイゾーウーマン)

 刺身は鮮度も抜群で、値段を考えても満足度は十分。実際に食べてみてもしっかりとおいしさを感じることができました。

鮮度良し、味も良し(写真:サイゾーウーマン)

 この時点では満足感が高い食事ができるとテンションの上がった筆者でしたが、お刺身をおかずとしてご飯を食べた際、好みから外れたベチャッとした炊き上がりであったことから、いきなりテンションがダウンしてしまう事態に。

ご飯。ちょっとベチャッとした炊き上がりで、この価格帯のものとしては残念感がありました(写真:サイゾーウーマン)

 また、小鉢でついてきた冷奴の端が少し欠けていたのも気になってしまったポイントでした。これが3ケタ円の定食であれば許容できるのですが、1,350円となるとこういう部分にも気を使って欲しい、というのが偽らざる気持ちです。

小鉢に入った冷奴。ちょっと欠けていたのが気になりました(写真:サイゾーウーマン)

 期待値が高くなりすぎた反動なのか、普段であればやはり気にしないであろう味噌汁のクオリティについても、「この値段ならあら汁とか、もう少しグレート挙げてくれても……」という気持ちが沸いてきてしまい、全体的に見るとちょっと割高に感じてしまいました。

小ネギとわかめの入った味噌汁(写真:サイゾーウーマン)
漬物はきゅうりの浅漬けでした(写真:サイゾーウーマン)

やっぱり食べ放題の卵は欲しい

 おかわり自由とはいえ、ご飯があまり好みの食感でなかったことから積極的に食べようという気持ちにならなかった筆者でしたが、一縷の望みをかけて、“薬味パワーでご飯の食感をごまかそう作戦”を決行することにしました。

 1杯ずつ残しておいたお刺身をご飯の上に置き、その上から卓上にあったたまり醤油と、刺身の大皿にあったレモンをかけさっぱりした風味の海鮮丼を作成。

海鮮丼を自作(写真:サイゾーウーマン)

 結果としては、刺身定食として食べるよりはアリなクオリティになったものの、やはりご飯の食感がどうしても気になってしまう部分は否めませんでした。

 この時、強く思ったのはやっぱり卵が欲しいなあ、ということ。こうした食感の悪いご飯であっても、卵ご飯にできれば十分おいしく食べられるでしょうし、刺身は刺身で、ご飯は卵ご飯で、という形で食べ進めれば、価格に見合った満足度を得ることができたと思います。

卓上調味料は醤油、たまり醤油、一味、ソース、焼き塩が置いてありました(写真:サイゾーウーマン)

【さくら水産】お刺身に関しては十分満足!

 もう一度強調しておきますが、今回頼んだ「魚河岸お刺身5点盛り定食」のお刺身に関しては、十分満足のいくクオリティでした。

 しかし、定食である以上はおかわり自由とはいえ、ご飯のクオリティについてももう少し気を配って欲しかった、というのが正直なところ。

 かつてのワンコインランチであれば許せていた部分も、現在の比較的高めな価格帯で提供される以上、どうしても気になってしまうのです。

 「さくら水産」にはぜひ、過去にリーズナブルさを求めて通っていた筆者のような層が「ああ、今はちょっとお高めだけどおいしいランチを提供する店になったんだな」と納得できるようなメニューを提供し、再びかつての隆盛を取り戻してほしいと思います。

阿左美賢治(ライター)

食品スーパー「ヤオコー」を愛する埼玉在住グルメライター。中学3年生で体重100kgを超え、全盛期の30代前半には200kgを超えた業界最大級の巨漢でもある。コンビニやチェーン店のグルメにも詳しい。趣味はスイーツ作り。

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最終更新:2024/07/21 15:30
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