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ボーイズグループ音楽性解説(3)

BE:FIRST「Masterplan」、JUNONソロ曲に垣間見えるSKY-HIの“考え”とは?

2024/04/29 15:00
田口るい(ライター)
2022年『Asia Artist Awards』でのBE:FIRST(C)GettyImages

 BE:FIRSTの新曲「Masterplan」について、ヒップホップ系音楽誌の元編集部員、田口るいさんが解説します。

目次

BE:FIRST、HIPHOPに対する多彩なアプローチ
「Masterplan」に見られるメンバーのクリエイティブな一面」
メジャーシーンでHIPHOPの楽曲を展開することの難しさ

BE:FIRST、HIPHOPに対する多彩なアプローチ

 SKY-HI率いるBMSG所属の7人組ダンス&ボーカルグループ「BE:FIRST」。彼らの新曲「Masterplan」が4月24日にリリースされ、Billboard JAPANダウンロード・ソング集計速報(集計期間:2024年4月22日~4月24日)によれば2.4万DL超えで首位を獲得している。

 「Masterplan」は表題曲のほか、メンバーのMANATOとJUNONが作曲に、LEOが作詞に参加した「Glorious」、SHUNTOとRYUHEIが作詞に参加した「Set Sail」、JUNONによる初のソロ曲で作詞作曲にも参加している「Nova Flame ~One of the BE:ST-01 JUNON~」という4曲を収録だが、それぞれ異なるテイストが感じられることはもちろん、所々にプロデューサーのSKY-HIの思いが垣間見えるような仕上がりになっている。

 「Masterplan」は「Boom Boom Back」(23年2月)「Mainstream」(23年9月)の続編という位置付けだが、共通項はHIPHOPに対する多彩なアプローチ方法。「Boom Boom Back」でほんのりオールドスクール・ヒップホップの香りを、「Mainstream」でまさにタイトル通り現行のヒップホップのエッセンスを散りばめており、「Masterplan」でここ数年定着しつつあるヒップホップに和のテイストを融合させる形に仕上げている。

「Masterplan」に見られるメンバーのクリエイティブな一面

 ひと口にHIPHOPといっても、音楽ジャンルとしてはかなり細分化されている部分があり、同じヒップホップフリークでも好みがまるで違うということも珍しくない。

 たとえばクラブで大音量でかかっているようなアゲアゲ系HIPHOPが好きな人もいるし、逆にゆったりとくつろげるようなチル系ヒップホップが好きな人もいるし、メッセージ性が強いリリカル系ヒップホップが好きな人もいる。

 BE:FIRSTはもともとヒップホップ好きのメンバーがそろっているが、それぞれ少しずつ好みが違うという可能性もあるだろう。7人が思うさまざまな「かっこいいヒップホップ」が形になったのが「Boom Boom Back」「Mainstream」「Masterplan」だと考えるのと、それぞれ多彩なアプローチ方法が取り入れられているのも納得できる。

 また、BE:FIRSTはかねてより自分たちの楽曲に制作から携わっており、1stアルバム『BE:1』にもメンバーが作詞作曲を手がけた楽曲がいくつか収録されている。

 そして今回の「Masterplan」にもメンバーが作詞作曲を担当した曲や、JUNONが作詞作曲に参加、そして歌唱を担当したグループ初となるメンバーソロ曲が収録されており、メンバーのクリエイティブな一面をより前面に出す動きが見える。

メジャーシーンでHIPHOPの楽曲を展開することの難しさ

 プロデューサーのSKY-HIによれば、こうしたソロ曲のリリースは各メンバーのソロ楽曲及びそのパフォーマンス映像を展開する企画「One Of The BE:ST」の一環。「ソロ活動のスタートというよりは、BE:FIRSTを更に強くしていく為のプロジェクト」であり、その裏には「個性の更なる成長のために一番必要なのは、“個々の音楽性、音楽力の更なる成長”に尽きる」という考えがあるためだという。

 前回の記事で解説したが、SKY-HIといえばHIPHOPに精通し、ラッパーとして活動する傍ら、パフォーマンスグループ・AAAの日高光啓としても活動。

 まだまだアンダーグラウンドなHIPHOP業界と、メジャーシーンであるJ-POP業界やアイドル業界の両方のリアルを知るSKY-HIだからこそ、メジャーシーンでHIPHOPの楽曲を展開することの難しさを理解しており、そのためにはメンバーそれぞれの成長が欠かせないと考えているのかもしれない。

 ボーイズグループ戦国時代ともいわれる近年、歌やダンスがうまいだけではほかのグループとの差別化が難しいのが事実。求められるものがどんどん増えている中、今後BE:FIRSTがどのように進化した姿を見せてくれるのか楽しみだ。

田口るい(ライター)

HIPOHOP系音楽誌の編集部勤務を経て、フリーランスとしてエンタメ系やカルチャー系の記事を執筆。推しはSixTONESのジェシー。

最終更新:2024/04/29 15:00
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