【イオン】系列の“実験的”ディスカウントストア「パレッテ」、激安とはいえない?
2024年4月現在、6店舗を展開するディスカウントストア「パレッテ」。ただのディスカウントストアではなく「未来型」をコンセプトにしたイオングループのストアです。イオンの展開するディスカウントスーパーといえば「ザ・ビッグ」が代表的ですが、それとはなにが違うのか? 実際に店舗を利用して迫ります!
目次
・【パレッテ】とは?
・【パレッテ】で実際に買い物してみた
・【パレッテ】不思議な空間であることは間違いない
パレッテとは?
イオングループが展開する“未来型ディスカウントストア”パレッテ。店舗数は2024年4月現在7店舗で、神奈川県のみの展開です。イオンのディスカウントストアは「ザ・ビッグ」が代表的ですが、新路線の“未来型”として20年12月に1号店がオープン。24年に1店舗が閉店になり、現在7店となりました。
なお、公式サイトを見ても会社概要に会社所在地や問い合わせ先の記載がなく、イオンの文字も見当たりません。プライバシーポリシーでようやくイオンのグループ会社であることが明記されていました。
公式サイトには、「@パレッテ!は、挑戦者です。循環型社会にふさわしい、未来型のスーパーマーケットで新しいショッピングスタイルを提案します」と書かれていて、同店のキーワードは3つの「セーブ」とのこと。「ムリ、ムダ、ロスのないスマートなカタチ」の新スタイルを提供するそう。
では、いったい、どれほど安いのか? 未来型とはなんなのか? 確認したいと思います。
【パレッテ】実際に買い物してみた
平日の昼過ぎにパレッテに到着すると、店内に買い物客は筆者のほかに2組ほど。通路が広々とられている店内のため、かなり閑散とした印象を抱きました。
店頭に置かれていたチラシからまずは価格帯をチェック。
チラシ
レトルトのカレーが84円、冷凍ブロッコリーが500g300円など安いものが目をひきますが、よく見るとイオンのPB商品です。というか、よく見ると5〜6割の商品がPBの様子です。
野菜の金額は「まいばすけっと」と同等?
入店してまず、通路の広さにビックリ。5メートルちょっともとられていて、かなり開放的な印象です。入口すぐは生鮮コーナー、豆腐や納豆などの日配品コーナー、そこに魚コーナーが続きますが、魚は冷凍が9割。明太子としらすだけが冷蔵庫に置かれていました。
ここまで見たところ、商品数や金額はイオンの都市型小型食品スーパー「まいばすけっと」と同じ印象です。野菜の価格も同じで、じゃがいもは単体で62円、4つ入りの袋で149円。にんじんは袋で170円、ミニトマト213円、豆苗105円といったラインアップ。目を引いて安く感じた27円のもやしはイオンのPBでした。
精肉は豚の小間切れ(国産)127円/100g、(米国産)116円/100g。産地表記不明の若鳥もも肉が127円/100g、豚ミンチ(国産)138円/100g。安い! と衝撃を受けるほどではない印象です。店内の無機質な雰囲気のせいか、肉質もいまいち新鮮に思えないのが残念でした。
バナナは108円。いつも購入している店でも108円なので特段お得感はありません。
意外だったのは、商品の値札表示は全体的に地味なこと。ディスカウントストアにありがちな安さを前面的に訴求するような表示をしていません。このあたりは、安さとお買い得感を値札でバンバンに訴える「ザ・ビッグ」とまったく違いました。
また、飲料やカップ麺のコーナーに顕著だったのが、段ボールの丸出しで販売している点。一般的な食品スーパーなら段ボールから出して陳列するところを、箱に入ったまま販売しています。これは同じくイオン系列のディスカウントストア「ビッグ・エー」を思い出しました。
冷凍食品にびっくり! イタリアから直輸入ピザ
総菜コーナーにはオリジン弁当の商品も展開され、ここにもイオンの流れを感じます。はっきり言っておいしそうとは言い難い格安弁当と総菜が並ぶ中、オリジンの弁当の安心感はかなりのものでした。
冷凍食品コーナーは、イオンのPBや大手メーカー品が豊富に並んでいたのですが、異色だったのがこちらの冷凍ピザ428円。
イオンがイタリアから直輸入している商品のようです。隣にはPBの冷凍ピザがありましたが、この輸入品のほうが売れていました。
価格帯は「ザ・ビッグ」と変わらない?
チラシで宣伝していた森永のチョコモナカジャンボやスーパーカップは105円と低価格ですが、ザ・ビッグではいつでも106円。同じくチラシ掲載の冷凍ブロッコリーは500g300円、ほうれん草500g321円のところ、ザ・ビッグはブロッコリーは800g428円、ほうれん草が800g515円でした。グラム換算で0.2円ほど安くはありますが……。
そのほか、牛乳はイオンのトップバリュ「草原便り」が158円、トモヱ乳業の「酪農牛乳」が213円。普段、筆者は「酪農牛乳」を近所のドラッグストアで150円台で購入しているので高価格で驚きました。
なお、日清カップヌードルは149円で、先月見たザ・ビッグの201円よりだいぶお買い得。
全体的にザ・ビッグと同価格帯ではあるものの、商品によってはかなり安いものもある、という評価になりそうです。総じて「激安」というには難しいところ。
トップバリュより下ランクのPB多数発見
安価な商品は9割型PB商品ですが、一般的に知られている「トップバリュ」のほかにもさまざまなPBを発見しました。
たとえば「Swee fee(スウィーフィー)」。カロリーメイトのような食べ物「ライトミールブロック」についていたPB名で、問い合わせ先は「イオンDS商品お客さまサービス」でした。
イオンのトップバリュ商品のカップ麺シーフード味88円。製造は明星株式会社でした。
ペットボトルの飲料で最安だった500mlの緑茶「お茶屋さんの緑茶」48円。このお茶はPBではなく、イオン、業務スーパー、コストコなどで販売されているそうです。
そのほかに確認できたトップバリュ以外のPBブランドは、「Beve time(ビバタイム)」「和日彩々(わびさいさい)」「Easy to Use(イージートゥユース)」。これらはザ・ビッグでも扱われています。またハムなどには「ミートシェフ」というPB名も確認できました。
ベーカリーだけ異色の存在感
無機質な雰囲気が漂うパレッテにおいて、かなり異色だったのがベーカリーコーナーです。なぜか焼き立てパンを販売していて、店員がなかなか見つからないにかかわらず、常に1人は焼き場にいるという力の入れよう(筆者が確認した限り)。
店外に「あんクロワッサン」ののぼりを立てていたので気になっていたのですが、まさかインストアベーカリーだとは思いませんでした。売り場でも「あんクロワッサン」127円を推している一方で、それ以上にデカデカと宣伝されていたのが「発酵バタークロワッサン」128円。
「ヨーロッパ発酵バター100%使用 コク・風味・香りが抜群です」とのこと。人気もあるようで、クロワッサンだけ購入して帰る人も見かけました。
オーケーストアにあるようなピザ(537円)もあり、人気商品なのか残り1枚でした。ちなみにメーカー品のパンは、パスコの超熟192円、ヤマザキのコッペパン105円。このあたりはザ・ビッグのほうが安そうです。
店外でのぼりを立ててまでアピールしていた「あんクロワッサン」118円。
【パレッテ】不思議な空間であることは間違いない
倉庫のように広い空間に、整然と商品が積まれた店内。体感的にハワイやグアムのディスカウントストアのようです。ようやく姿を発見した店員は、チェックシャツにチノパン、エプロンにベージュのキャップという制服で、日本のスーパーというよりアメリカのDIYショップにいそうな感じ。全体的に味わったことのない不思議な空間であることは間違いありません。
レジは完全セルフレジ。店員が店内にいることは少ないので、セルフができない方は買い物不可能でしょう。なお、レジではWAONでの支払い可能、レジ袋は6円で購入可能。
そのほかパレッテデザインのエコバッグ、IKEAの人気ショッピングバッグのような大容量のバッグも販売されていました。
価格帯としては激安ではないので、安い飲料だけ大量に買いたい、安いカップ麺を箱で買いたいなど、指名買いする使い方がよいと思います。しかし、それでも個人的にはザ・ビッグで事足りるかなというのが正直な感想です。
小売・流通業界サイトによると、パレッテはイオンにおける「実験的」な存在とのこと。現在の7店舗が拡大していくのか? はたまた閉店になるのか? 今後の動向に注目したいと思います。