コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

あのちゃんは失礼な後輩かもしれないが……実は先輩にとって「ラクな存在」であるワケ

2024/02/01 21:00
仁科友里(ライター)

 番組内では、上田だけでなく、高畑淳子やいとうあさこも「後輩を誘うのは気を使う」と言っていた。私は、彼女たちのようなベテラン勢は、後輩にどう思われようとあまり気にしないのかと思っていたが、後輩を無理に付き合わせて「パワハラ」と言われるのが嫌なのかもしれない。

 また、自分たちが先輩の誘いを断ってこなかった分、後輩に断られることに慣れていないため、いざそうなった場合、自分が必要以上に傷ついてしまうことを危惧している可能性もある。もっと言うと、ある後輩が自分の誘いは断るのに、ほかの人の誘いには応じていたと知ってしまったら、さらにショックだろう。後輩が先輩を拒否することへのタブー感が薄れた今、先輩は後輩から、自分の評価を突きつけられやすくなっている。となると、高畑やいとうが「後輩を誘うのは気を使う」と漏らすのも理解できるのだ。

 しかし、あのちゃんのように、「先輩から誘われても飲みに行かない」と公言する後輩は、先輩を傷つけない。もしあのちゃんに断られても「あの子は、いつもそうだもんね」と思えるからだ。その点で、あのちゃんは先輩にとってラクな存在なのではないか。

 加えて、あのちゃんは先輩に可愛がられる要素も持ち合わせている。というのも、彼女は基本的に飲み会に行かないものの、“絶対”ではなく、「この人とはしゃべりたいと思えば、行く」と言っていた。

 ということは、日頃は「行かない」で通しているあのちゃんが、飲み会に参加したらプレミア感が増す。その場の先輩たちは「飲み会に行かないと言って憚らないあのちゃんが来た!」とうれしくなるのではないだろうか。本人がどこまで意識しているかはわからないが、あのちゃんは協調性のなさを隠さないことで、好感度を非常に上げやすくなっていると思う。

 上田が「思い切って誘ってみるけど、今日終わってからごはん行かない?」と誘うと、「行かない」と満面の笑顔で断っていたあのちゃん。もちろん、あのちゃんに断られることを期待しての振りトークだろうが、予想に反してそんな彼女が「ご飯連れて行ってください」と言ったら、それはそれで上田はうれしいだろうし、「大人になった、成長した」と思うのではないだろうか。

 かつて『5時に夢中!』(TOKYO MX)で、北斗晶が「悪役はトク」と言っていた。悪い人、怖い人と思われているので、ちょっといいことをするだけで、「本当はいい人じゃん」と好感度が爆上がりするからだそうだ。

 あのちゃんもこれと同じ理屈で、先輩へのタメ口など非常識と取れる振る舞いをしたことが吉と出て、一般的な行動を取れば「本当はいい子」と周囲からの評価が上がるのではないか。

 友人のメイプル超合金・安藤なつによると、あのちゃんに電話をすると泣いていたり、か細い声で何か言っているなど、メンタルが不安定なこともあるようだ。忙しすぎてストレスが溜まっているのかもしれないが、たまには心を許せる人との飲み会に参加して、リフレッシュしてほしいものだ。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2024/02/01 21:00
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