THE RAMPAGE・川村壱馬が筆頭! ドラマ評論家が選ぶ「2024年ブレーク期待の若手俳優4人」
――『テレビドラマクロニクル1990→2020』(PLANETS)『キャラクタードラマの誕生』(河出書房新社)などの著書で知られるドラマ評論家・成馬零一氏が、2024年に活躍が期待される若手俳優を選出した。
川村壱馬(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)
2024年の活躍が期待できる俳優として、まず挙げたいのが川村壱馬だ。
川村はダンス&ボーカルグループ・THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのボーカルとして活躍する傍ら、EXILE HEROがエグゼクティブプロデューサーを務めるイケメンドラマ『PRINCE OF LEGEND』(日本テレビ系)の京極竜や、ヤンキー映画・ドラマ『HiGH&LOW THE WORST』シリーズの花岡楓士雄を演じ、LDH JAPANの次世代エースとして大切に育てられてきた。
23年はカフェ・プロデュース会社で働く青年を演じた『日曜の夜ぐらいは…』(テレビ朝日系)、大学時代の同級性と一度だけ寝た後、曖昧な友人関係を続けている青年・仲原進吾を演じた『セクシー田中さん』(日本テレビ系)という2作のテレビドラマに出演。どちらも主演ではなかったものの印象に残る役で、事務所の先輩である町田啓太のような幅広いキャラクターを演じられるイケメン俳優に成長していくのではないかと期待している。
水上恒司
次に挙げたいのが水上恒司。彼は元々、岡田健史という名前で『中学聖日記』(TBS系)や『MIU 404』(同)といったドラマに出演し、若手ホープとして注目されていた。
23年に所属事務所のスウィートパワーを退所し、本名での再スタートとなったのだが、恋愛ドラマ『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)、連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK)と立て続けに出演。12月から上映された特攻隊の青年を演じた映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』もヒットし、勢いに乗っている。
近年の若手俳優は、繊細な演技を起用にこなす一方で、力強さに欠けるところがある。対して、水上の演技は豪快で思い切りがよく、若い時の石原裕次郎を思わせる昭和のスター俳優の香りがする。
『ブギウギ』ではヒロインの鈴子(趣里)の夫となる大会社の御曹司・村山愛助を演じているが「竹を割ったような」という比喩が似合う素直な好青年ぶりを見せており、真面目で誠実な人柄が全身からにじみ出ている。
こういう芝居ができる俳優はとても貴重なので、今後も昭和を舞台にしたドラマで引っ張りとなることは間違いないだろう。
上杉柊平
上杉柊平は、ヒップホップグループ・KANDYTOWN(23年3月解散)のHolly Qとして音楽活動をする傍ら、俳優としても活動しており、映画『リバーズ・エッジ』や深夜ドラマ『幸色のワンルーム』(ABCテレビ)などに出演してきたが、23年は『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS系)では深田恭子が演じるアラフォー女性の恋人役を演じ、大きく注目された。
また、BLドラマ『ワンルームエンジェル』(MBS)では、天使と同居生活を送るやさぐれた青年を演じ、西村拓哉(Lilかんさい)と共に主演を務めた。
そして、何より大きかったのが、ドラマ『幽☆遊☆白書』(Netflix)で妖怪と戦う不良高校生・桑原和真を演じたことだ。
1990年代に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された大ヒット漫画をNetflixで実写ドラマ化した本作は世界中から注目の集まるビッグプロジェクトで、北村匠海、志尊淳、本郷奏多、綾野剛、稲垣吾郎といった名だたる俳優が出演していたが、上杉は愛嬌のある不良少年を好演し、役者としての存在感を全世界に示すことに成功した。
彼の魅力は、やさぐれたチンピラを演じられることで、鋭い目が負のオーラを醸し出す一方で、困っている人を放っておけない、古き良き「不良少年らしさ」がある。
2024年はドラマ『となりのナースエイド』(日本テレビ系)の出演がすでに決まっているが、『幽☆遊☆白書』の影響で出演オファーが殺到するのではないかと思う。
黒川想矢
同じく世界で注目を浴びたのが、黒川想矢だ。黒川は2023年のカンヌ映画祭で脚本賞とクィア・パルム賞を受賞した是枝裕和監督、坂元裕二脚本の映画『怪物』で、いじめにあっているミステリアスな少年・星川依里(柊木陽太)に惹かれていく小学生・麦野湊を演じ、大きく注目された。
是枝裕和は子役を撮ることに定評がある映画監督で、柳楽優弥や広瀬すずといった現在も映画やドラマで活躍している俳優も是枝作品で才能を開花させた。
『怪物』も安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子といった名優が多数出演していたが、もっとも印象に残ったのは、黒川と柊木陽太が演じた子どもの姿だった。本作を見て2人が世界で評価される俳優に成長していくことは間違いないだろうと確信した。
実際、黒川はすぐに『silent』(フジテレビ)で知られる生方美久脚本の連続ドラマ『いちばんすきな花』(同)に抜てきされ、保健室登校をしている望月希子(白鳥玉季)を心配する物静かな中学生・穂積朔也を好演。本作は演技のトーンが独特で、声量を抑えた静かな芝居が続くのだが、黒川の演技も作品世界にしっかりとハマっており『怪物』の湊とは違う、冷静な中学生を見事に演じきった。
現在14歳の黒川だが、すでに独特の存在感をまとっており、役によって演技のトーンを変える振り幅の広さもすでに身につけている。
24年は今泉力哉監督のドラマ『からかい上手の高木さん』(TBS系、3月〜)の出演が決定しているが、今後は神木隆之介のような、少年らしさも持った国民的俳優へと成長していくのではないかと思う。