2024年注目の「ヤクザの裁判」――工藤會・餃子の王将・山口組・元怒羅権の判決は?
今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
ヤクザの事始めはひっそり終了
あっという間に師走も半分を過ぎました。
今年もヤクザの事始めは身内だけでひっそり行われたようですが、警察はしっかり把握してニュースになってましたね。
昔の事始めは芸人さんとかに来ていただいてたし、ハデにするのが普通だと思ってましたから、隔世の感がありますね。
「なかなか始まらない裁判」の謎
そんな寂しい年の瀬ですが、来年は注目している裁判が続きます。
1つは、前回もちらっと書いた工藤會トップのお2人の控訴審判決ですね。3月12日だそうです。
弁護側の証人はほぼ採用されず、あっさり終わりましたが、どうなるでしょうかね。日本の三審制は超絶タテマエで、控訴審はもともと早いんですけど、早すぎました。でも、早いのは「この裁判だけ」の気がします。
2月には「餃子の王将」社長さん射殺事件(2013年12月)で逮捕された工藤會系のヒットマン氏の「公判前整理手続き」が始まるそうです。22年10月の逮捕から1年半近くもたって、「やっと」公判前整理手続きですよ。もちろん公判日程は未定です。
ヒットマン氏は黙秘しているそうで、このまま墓場まで持っていくのでしょう。このヒットマン氏は1965年生まれで、報道によると青学中退→サラリーマン→トラブルを解決してもらった縁で工藤會入り、という変わった経歴が話題になってましたね。
槇原敬之さんみたいに3浪とかしてなければ、高橋克典さん(1964年生)とか蓮舫さん(1967年生)とかと同じ時期に、今はない神奈川県の厚木キャンパスで過ごされていますね。高等部には尾崎豊さん(1965年生)がいらっしゃいましたが、大学には進学されてないので、「ニアミス」という感じでしょうか。
青学OGの編集者さんによりますと、「中退する人は多くはないけど、ゼロではなかった」そうです。
いろいろあって、「カタギの世界に愛想が尽きた」ようですが、やっぱりヤクザになる理由はほんとうに十人十色なので、他人が口を出すことではないです。
なかなか裁判が始まらない事件は、まだあります。
六代目山口組・山健組の中田浩司組長は、なんと2019年に起訴されて、まだ公判が始まっていません。もう4年もたつのに、どうしちゃったんですかね。まあ未決勾留のほうが自由なんですけど、そういう問題でもないと思います。
また、10月に逮捕されたチャイニーズドラゴンの創設メンバー・汪楠(ワン・ナン)さんの公判もまったく報道されないのが気になっています。「FLASH」(光文社)は逮捕についても懐疑的な報道ですが、ほかは「やっぱり悪い人だった」みたいな論調でとても残念です。
汪さんは、ご自身の過去について書いた本も出して、「ほんにかえるプロジェクト」(受刑者に書籍を送る支援活動)など受刑者の支援もしているのですから、強盗傷害事件を起こす動機がないと思うんですよ。
しかも逮捕の時は大々的に報道したのに、起訴についての報道はまったくないですから、「公判維持できそうにないけど、とりあえず逮捕してみた」みたいな感じなのかなと勘繰ってしまいます。以前の逮捕もひっそりと不起訴になってましたしね。
起訴も不起訴も検察次第
こういう動きを見ていると、「検察庁」ってやっぱり怖いと思いますね。逮捕も起訴も不起訴も、なんとムショの仮出所時期もみんな検察が決めるんです。判決確定後も影響力を持ってるって怖くないですか?
不良の弁護人なども引き受けてくださる金岡繁裕弁護士さんは、お忙しいのにブログをけっこう更新されてて、「不起訴理由」についても書いていらっしゃいます。
それによりますと、刑事訴訟法(259条)には、不起訴の理由は被疑者から聞かれた時だけ教えればいいとしてあるので、キホン検事さんの自由なんですね。
先生は、特に痴漢の冤罪事件とか不起訴の理由をちゃんと開示してくれないと、家庭や職場で居場所がなくなると書いていらっしゃいます。確かにそうですね。
先生はよく開示請求をされるそうで、検察側には「『嫌疑不十分なのだが、嫌疑不十分と認めたくない』という、つまらない意地」があるんだとか。
「検察官の胸先一つで不開示とすることが出来、外部から糺(ただ)す仕組みがないという状態は、不健全であり、権利侵害的である」と結んでおられます。その通りです。
ちなみにほとんどないですが、不起訴の理由がちらっと報道されることもあって、11月には盛岡地方検察庁が岩手のヤミ金業者を「証拠関係などを考慮」して不起訴にしてました。小さな記事ですが、「へえ」と思いました。この調子でお願いしたいです。