逮捕された「86歳の元ヤクザ」がすごいワケ――放火・発砲・立てこもり事件を元極妻が解説
今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
「元ヤクザ86歳」の発砲・立てこもり事件
この原稿を書いているのが11月1日なので情報も少ないのですが、びっくりしましたね、「元ヤクザ86歳」の発砲・立てこもり事件。
立ち退きを迫られていたアパートを放火し(全焼だそうです)、トラブルのあった病院と郵便局で発砲、そして立てこもり。指は欠損、バイクで移動。逮捕はされましたが、情報が多すぎますよね。もう所属してた組織の名前も出ているようです。
もともとこのおじいさんは、ご近所さんに「ピストル持ってる」とか自慢してたそうで、「相当やべえおじいさん」なんですね。今どきなかなか銃は手に入らないので、最近買ったものではないでしょう。昔から持ってたんだと思いますよ。超絶ムダ知識ですが、拳銃はまあまあお手入れをしてれば、30年前のでも使えます。
でも発砲しても人に当てず(「脅し」かなと思っています)、暴発で自分がケガするわけでもなく、バイクで移動できるのは、90歳間近ですごいとしか言えないです。立てこもれる体力もすごいですよね。この年齢だと、もう30分以上起きてられない人も多いでしょう。
報道によりますと、逮捕当時の罪名は「人質強要処罰法違反の疑い」でしたが、これから銃刀法違反、放火、もしかしたら殺人未遂もつくでしょうから、獄死確定です。組織のための犯罪ではないでしょうから、「元ヤクザの老人の悲しい末路」というだけですね。
立てこもり事件は「高齢者を自暴自棄にさせる社会」の象徴
2019年10月に神戸山口組系の事務所近くで関係者2人が射殺された事件では弘道会系のヒットマンが逮捕されましたが、この時も「70歳近いヒットマン」が話題になりました。
でも、今回は20歳近くも上ですよ……。ヒットマンじゃなくて個人的な恨みのようですが、いずれにしろ今回は亡くなった方がいなくてよかったです。ただ、人質になった女性は一生トラウマでしょうし、近くの学校の子どもたちや親御さんは生きた心地がしなかったでしょう。
いいことではないですが、射殺や立てこもり事件はカタギさんも起こしてますよね。
ヤクザは社会を映す鏡ですから、ヤクザ社会の少子高齢化も当然で、いいトシでやらかすカタギさんも珍しくないです。
今回の自宅放火からの立てこもりは、「高齢者を自暴自棄にさせる社会」の象徴です。これから、こういう事件はもっと増えるかなと思っています。
「ヤクザもいる明るい社会」が理想
9月のことですが、自民党系の宮崎県議会議員さんが常任委員会で「(暴力団を)根絶やしにするのは、ある意味健全な社会ではない」「この自由な社会で完全に(なくすの)はあり得ない」とか言って炎上、発言を取り消す騒ぎがありました。
県議さんは、委員会後に「悪人が誰もいないのは権力に監視された世界」と説明したそうですが、元極妻的には「正論」としか言いようがないです。
この県議さんのような人は「ヤクザからカネをもらってる」とか言われちゃうわけですが、ヤクザはお金を取ることはあっても、くれることはまずないんですよ。もしかしてトラブルをもみ消してくれるとかはあるかもしれませんけど、それも最近はあんまりない気がします。
やっぱり作家・宮崎学さんの言う「ヤクザもいる明るい社会」が理想ですよね。厳しく排除された人が何をしでかすかというと、放火や立てこもり、窃盗や強盗でしょう。すでに闇バイトなど、カタギさんも加わった事件も目立ってきてますよね。これも宮崎さんの受け売りですが、「排除の先」には「より悪いもの」しかないのです。