マスコミより一般人のほうが本質をついている――ジャニーズ性加害記事、女性週刊誌のひどすぎる内容
下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
ジャニーズ性加害問題で企業が次々と“ジャニーズ離れ”を表明しているが、同時にテレビのジャニーズCM出稿停止も相次いでいるらしい。当然のドミノ倒しともいえる。今後も、さまざまな影響が各方面にあるだろう。こうした影響力の強さゆえ、ジャニーズ事務所のスキャンダルがタブーとなった。そして、ジャニー喜多川氏の悪辣な所業が隠蔽された。そして問題はジャニーズ事務所だけではなく芸能界、マスコミ界全体のものだと今後も自戒すべきだ。
第668回(9/21〜9/26発売号より)
1位「『滝沢秀明がキス強要』当事者の会代表の『新たな告発』」(「女性セブン」10月5日号)
2位「ジャニー喜多川氏性加害問題で続々契約打ち切り ジャニーズ起用CM今後『買う? 買わない?』」(「週刊女性」10月10日号)
3位「羽生結弦『僕の夢を叶えてくれた』8歳年上妻バースデーに感謝の億ション」(「女性自身」10月10日号)
ジャニーズ事務所の記者会見以来、女性週刊誌によるジャニーズ性加害関連ネタが掲載されるようになったが、その内容はひどいというしかない。毎週のように同じことを言っているが、本当にひどすぎるから仕方ない。そして、その筆頭がこれまた何度も言うが「女性セブン」だ。
性被害を訴えた被害者のスキャンダルを掲載し、バッシングする。タレントたちの苦境を“絆”や“美談”にすり替える。さらにジャニーズ事務所の性加害問題という本質を正面から取り上げることなく、なぜか“辞めたジャニーズ関係者”にその責任を転換する――。
実際「セブン」は9月21日号で、ジャニー喜多川氏の後継者と言われ、ジャニーズ事務所副社長だった滝沢秀明氏(2022年10月に退社)と、SMAP育ての親で、ジャニーズ事務所を追い出された後“新しい地図”を手がけているCULENのI社長にその矛先を向け、ジャニーズ事務所の性加害について「見解を尋ねる」として質問状まで送っている。さらに今号では、滝沢氏の“性加害”ともいえる疑惑を書き立てているのだ。
その根拠は、ジャニーズ性加害問題当事者の会の代表を務める元ジャニーズJr.の平本淳也氏のブログだ。このブログの過去のエントリーに、“滝沢さんに舐められた”というあるJr.の証言が紹介されていたという。そのことを元に平本氏に取材する「セブン」。すると平本氏は、「ぼくが直接被害を受けたわけではないので真偽はわかりませんが、ブログに(ジャニーズJr.から)そういうメッセージが送られてきたのは事実です」との回答を寄せたという。
平本淳也氏に対しても“疑問”を呈す「女性セブン」
もちろんメディアが、こうした疑惑を検証するのは当然だ。滝沢氏は元ジャニーズ事務所の副社長という要職にあった。でも、順番が違うよね。ジャニー喜多川氏の性加害、さらに新社長になった東山紀之にも性加害の疑惑がかかっている。そうした大元、本質を検証せず、ジャニーズを辞めた滝沢氏を執拗にクローズアップし、バッシングをする。記事にはご丁寧にも「滝沢秀明『ジャニー氏の後継者』実績」と題された年表まで掲載されている。
それだけではない。平本氏のブログを元に滝沢氏の性加害疑惑を指摘する一方、平本氏の証言がどこまで信ぴょう性があるかを検証すると言って、平本氏のこれまでの性被害証言の変遷を指摘するなど、平本氏に対しても“疑問”を呈す始末。平本氏はそうした疑問について、性被害者としての心情や、これまでの孤独な闘いを丁寧に語っているのだが、平本氏に対する悪意を感じざるを得ないものだ。そして平本氏は、こんなコメントも。
「滝沢に関して、当事者の会(ジャニーズ性加害問題当事者の会)の中で彼への責任がどうこうという話は出たことはありません。責任を決めるのはジャニーズ事務所なので、ぼくにも答えようがない。ただ、個人的には彼の考えも聞いてみたいですね」
当事者の会でも話題になっていないのに、滝沢氏の責任を執拗に追及しようとする「セブン」。滝沢氏の責任について「答えようがない」と平本氏がコメントしているにもかかわらず、「平本氏の(滝沢への)告発」などと表現してしまう「セブン」。姑息すぎる。
今週もアンケート企画で逃げる「週刊女性」
そして性加害問題に関し、取材もせずに“全国の女性1000人にインターネットでのアンケート”という安易な記事でお茶を濁した「週刊女性」だが、今週もまたジャニーズ性加害問題に関し、アンケート企画を組んでいる。今回のお題は、ジャニーズタレントを起用するCM商品を買うか否かだ。その結果は買うが81%、買わないが19%というものだが、寄せられたコメントが面白い。
「(ジャニー喜多川氏は)逮捕も非難もされないまま死んで絶対に許せない」
「組織的性犯罪の会社の利益になることは避けたい」
「会社同士の最初の契約時に噂を知らないことはなかったと思います」
「死んだ初代社長の性癖のせいで仕事を奪うのは別問題」
「日本がこんなにも恐ろしい国だと世界に知られて、ただただ恥ずかしい」
「一度は起用すると言って差し替えたモスバーガーはひどい」
一般の人のほうが、よっぽど本質をついている。一般人に辛辣な意見を代弁させるのが目的なのか、「週女」。あくまでアンケート結果と逃げられるからね。苦肉の策だね〜。
羽生結弦の結婚相手の興味深い“出自”
そんな「週刊女性」のスクープで明らかになったのが、羽生結弦の結婚相手。8歳歳上の元バイオリニストだと報じられたが、今回「女性自身」が、羽生のお相手の興味深い“出自”を明かしている。
「彼女の叔父は、元テレビ朝日の政治部長です。現会長と結びつきが強く、独立後も同局の『大下容子ワイド!スクランブル』でコメンテーターを務めており、影響力を持っています」
ここまで書いてあれば、すぐに末延吉正氏だとわかる。なぜ匿名?