『VIVANT』がここまで注目された背景と、堺雅人の“ヒットの法則”を関係者が考察
9月17日に最終回を迎えた日曜劇場『VIVANT』(TBS系)。9話までの平均個人視聴率は8.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で、最終回も12.9%(世帯19.6%)と有終の美を飾った。
最終回が終わったばかりだが、すでに続編が決まっているとの情報もあり、注目を集める同作。
「15日放送の『ひるおび!』(同)に出演した主演の堺雅人は『(伏線を回収)しきる』と断言しつつも、『しきるけど……余韻というのかな。終わらない感じもするんですよ。序章だったのかもっていうくらい……』と、含みを持たせた言い方をしていました。実際に一部週刊誌によると、2年後の2025年7月期に続編の放送が早くも内定しているといいます」(芸能ライター)
『VIVANT』ヒットの秘密は「大スペクタクルドラマへの渇望」か
放送開始前から注目作だった『VIVANT』だが、ここまでヒットした背景には何があったのだろうか。
「1話1億円という莫大な制作費をつぎ込んだ壮大なスケールのドラマに、視聴者が圧倒されたのが1つ。しかもモンゴルの大草原を舞台にした“抜け”の良さが心地よく、毎週、映画を見ているような感覚になりました。また、乃木(堺)が誤送金事件の損失130億円を回収するため、バルカ共和国へ渡り紆余曲折を経て、広大な砂漠を、薫(二階堂ふみ)、野崎(阿部寛)と共に進む姿は、経典を求めて遠く天竺(インド)を目指して旅する往年の人気ドラマ『西遊記』(日本テレビ系)を彷彿とさせた。堺が孫悟空、二階堂が三蔵法師、阿部が沙悟浄といったところでしょう」(テレビ業界関係者)
また、コロナ禍を抜けて人々の関心が再び海外へ向き始めたことで、「世界を股にかける大スペクタクルドラマへの渇望も、潜在的にあったのだろう」(同)とのこと。
さらに、キーとなったのはやはり堺の存在だという。
「堺がこれまで演じてきた作品でいうと、必ずしも『良い人』ではないことが“ヒットの法則”になっています。『半沢直樹』(TBS系)シリーズも、主人公の半沢は『オレは基本的に性善説だ。相手が善意であり、好意を見せるのであれば、誠心誠意それにこたえる。だが、やられたらやり返す』と、時には非情な手段も厭わない、ある種、ダークヒーローなわけです」(同)
また、『リーガルハイ』(フジテレビ系)シリーズでは、訴訟で一度も負けたことがない弁護士・古美門研介を演じたが、彼は「金さえ払えばわたしが無罪にしてあげよう」と言っているように、金のためなら手段を選ばない人間だった。
「今回の乃木も、真の目的を遂行するためには、幼い頃に生き別れた父に、銃口を向けて引き金を引ける。堺は、あの天真爛漫な笑顔とは裏腹に、屈折した役柄がよく似合います」(同)
さらに『VIVANT』は、表向き愛憎渦巻く親子の断絶と再生だが、ぞの実、父と子の“愛の物語”といった、これまでの堺の作品にはなかった要素も含まれており、その点も視聴者を魅了したようだ。続編の正式発表を心待ちにしたい。