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『バチェラー5』総括

『バチェラー5』女のバトルからシスターフッド推しへ! 恋リアウォッチャーの抱いた“違和感”とは?

2023/08/29 21:52
加古りえ(ライター)

 女性参加者の「女のバトル」が煽られていたこれまでのシーズンとは違い、「シスターフッド」がクローズアップされていたともいわれる今作。これは今年6月、シーズン5配信決定が報じられた際、MCの一人・指原莉乃が「女性参加者同士の友情を超えたシスターフッドな絆に“令和のバチェラー”を感じました」とコメントしたことがきっかけであり、配信開始後に視聴者から自発的に出てきたワードではない。

 女性同士の交流シーンが多く、魅力的なメンバーがそろっていたのは確か。あからさまな女同士の蹴落とし合いはなく、視聴者としても応援したくなるメンバーばかりだった。これを「シスターフッド」と呼んでもいいのかもしれないけれど、一方で、これは単に制作側の編集傾向が変わっただけでは? と違和感を抱いてしまったのも事実。今までのシーズンは「女のバトル」を煽るような編集が多かったが、ピックアップする場面によっては、今作と同じような女性同士の絆が見られていたのではと振り返りたくなった。

 一方、今作でも「女のバトル」になりそうなシーンはいくつかあった。ストールンローズ(※)を誰が使うかの話し合いは、編集によってはもっとドロドロしたものになりそうだった。

 また、ファイナルローズをゲットした飲食店経営者・大内悠里さんが、長谷川さんと2人きりのときに「女の子の中で私が一番(ローズをもらえる可能性が)ないと思われてるから~」と打ち明ける場面も気になった。これは、長谷川さんに「自分は、ほかの女性メンバーから下に見られているかわいそうな存在」と暗に伝え情に訴える行為であり、ひいては女性陣のイメージを下げることにもなる。大内さんのズルさが垣間見えた場面であり、ここも編集によっては「女同士の蹴落とし合い」に見えたはずだ。
※バチェラー略奪をかけて、デートに乱入できるローズのこと。

 指原は、番組内でも「シスターフッド感!」「令和のバチェラー!」「魂が震えた!」「過去最高のバチェラー!」と大げさに語っていたが、“私は制作側の意図を読み取っていますよ”という主張のように感じてしまう。

 この編集と指原の反応を受け、即「シスターフッド最高!」と思える人は、制作側の意図にまんまとハマりやすいタイプなのではないか。「女の敵は女」を売りにしたシーズンのときには、同じように「女のドロドロ最高!」という感想を持っていたのではないか。筆者も自分を顧みつつ、そんな疑念を抱いてしまった。

 筆者が「シスターフッド」以上に「令和のバチェラー」を感じたのは、以下の3点。

「“女性は地位とお金を持った男性を愛する”という前提を取っ払っていた点」
「女性側もバチェラーを、結婚相手として吟味しているとハッキリ見せた点」
「バチェラーをそれほど必要としていなさそうな女性が多数登場した点」

 事実、選ばれなくても晴れ晴れとした表情で帰っていくメンバーも多かった。この新しいバチェラー像を作っただけでも、長谷川さんが出演した意義はあったはずだ。

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