オードリーは、なぜ売れ続けるのか? 若林の「トーク力」と春日の「才能」をテレビ関係者が語る
今年6月、若林正恭と春日俊彰からなるお笑いコンビ・オードリーが、12年間レギュラーを務めた『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)を卒業した。
「これまで同番組では、和牛、阿佐ヶ谷姉妹といったコンビが卒業していきました。その理由に関しては、いずれも“賞味期限切れ”がささやかれていましたが、オードリーの場合はステップアップという見方が強い。今年の秋からハライチと共に『オドオド×ハラハラ』という新番組が、フジテレビ系木曜夜8時からスタートするからです」(テレビ業界関係者)
この番組は、元テレビ東京の佐久間宣行氏がプロデュースするバラエティで、6月に特番としてオンエア。SNSを賑わせるなど好評だったことからレギュラー放送に昇格するという。
オードリーが「一発屋の雰囲気」を跳ね除けた背景
『M-1グランプリ2008』(テレビ朝日系)で準優勝を勝ち取ってブレークしたオードリー。春日はピンクベストのいで立ちと「トゥース!」の決めポーズ、そしてドケチキャラで主要バラエティ番組を一周したが、当時は「一発屋の匂いも漂っていた」(同)そう。
しかし、そんな空気を跳ね除け、今やバラエティに欠かせない存在となっている2人。15年もの間売れ続る背景には、どのような成長階段があったのだろうか。
「大きかったのは、レギュラーラジオでの若林の“覚醒”です。若林のトーク力に注目していた放送作家の藤井青銅氏が、このままでは一発屋で終わると危機感を抱き、『M-1』準優勝直後にニッポン放送の編成局長に『オードリーで特番をやりませんか』と打診。2009年10月、『オードリーのオールナイトニッポン』(以下ANN、同)がスタートします。このラジオでの14年間はまさに、若林の成長記録と言ってもいいでしょう。たとえば、人見知り芸人だった彼がガールズバーに通ってそれを克服するなど独特の方法論、その実践過程を包み隠さず番組内で話すなどしてきました」(同)
若林のトークがラジオで覚醒した一方、春日もまた、さまざまな番組で才能を開花させていったという。
「『炎の体育会TV』(TBS系)では、フィンスイミング、ボディービル、格闘技、エアロビクスなどに次々と挑んではその強靭なフィジカルで結果を出してきました。『得する人損する人』(日本テレビ系)では東大受験に挑戦し、クイズ番組でも好成績を収めています。また、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)のドッキリでは狂気じみた我慢強さを披露するなど、どの番組でも“使える”人材であることを証明したのです」(同)
そして19年、先述の佐久間氏の尽力によって冠番組『あちこちオードリー』(テレビ東京系)がスタート。これがさらなるブレークのきっかけになったようだ。
「それまでも『日向坂で会いましょう』(テレビ東京系)などでMCを務めてきた彼らでしたが、コンビを代表するテレビ番組には出会っていなかった印象。しかし、台本も打ち合わせもない『あちこちオードリー』は、若林のトーク力をさらに世間に知らしめることができたはず。テレビ版『ANN』とも言うべきか、2人が率先してボヤいたり愚痴ったり、自分たちの葛藤、本音をさらけ出すことで、それにつられてゲストが胸襟を開く様子が見えます。この番組でオードリーのステージはもう一段階上がったといえるでしょう」(同)
上記のどの番組が欠けていても、今のオードリーはなかったのだろう。『オドオド×ハラハラ』ではどのような笑いを提供してくれるのか、楽しみだ。