Sexy Zone、SMAP、TOKIO……椎名林檎のジャニーズ提供楽曲に見る共通点とは?
また林檎は『関ジャム』で、ジャニーズは古典を含め、あるゆる分野への基礎、型がしっかりとあり、それをプロジェクトごとに違いを楽しませることができる点を“強み”として挙げていた。
その「違い」とは、王子様路線の王道アイドルソングだったり、イケイケ路線のダンサブル楽曲、はたまた統一感のある群舞や華麗なアクロバットを見せる方向のものだったり、さまざまあると思うが、その解像度をわかりやすく際立たせてくれるのが椎名林檎楽曲なのかもしれない。
Sexy Zoneは、Sexy時代を創り出したり、Mildが地球の裏側でWildにひっくり返ったりするデビュー曲「Sexy Zone」(11年)に始まり、曲中に“俳句”を盛り込んだ2ndシングル「Ladyダイヤモンド」、真夏とクリスマスを融合させた3rdシングル「Sexy Summerに雪が降る」、そして“ドバイ”を舞台にした5thシングル「バィバィDuバィ〜See you again〜」など、デビュー当初は、ある意味で“ジャニーズにしかない”、ときには“トンチキ”と評される発想の曲を歌うグループという印象が強かった。
一方で、「Knock! Knock!! Knock!!!」(デビューシングル「Sexy Zone」初回盤D収録)や「IF YOU WANNA DANCE」(12年発売の1stアルバム『one Sexy Zone』収録)など、実はデビュー当初から、王道のジャニーズソングとは一線を画す、いろんな曲調の楽曲にチャレンジしてきた。
その後、メンバーの成長に伴うように、大人の男らしさを強調する楽曲なども増え始め、15年の「カラフルEyes」(10thシングル)では、これまでとは雰囲気の異なるスタイリッシュでソウルフルな楽曲に挑戦し、新たなステージへとシフトチェンジ。
さらにその流れを発展させ、完成させたのが昨年6月リリースの8thアルバム『ザ・ハイライト』だ。世界的な流行でもあるシティ・ポップ色の強い楽曲群で、ビジュアルイメージも含め、完成度の高さが魅力の一枚となった。
これまでさまざまなジャンルの楽曲を歌ってきたSexy Zone。「本音と建前」は、大人な雰囲気を持つジャジーな旋律が印象的なインパクトの強い一曲だが、林檎が彼らの表現してきた世界観を統合し、可視化させた作品ともいえるかもしれない。きっとSexy Zoneの新たな魅力が、誰の目にもわかりやすく映るだろう。加えて、メンバーそれぞれの個性を一つに集約させながらも、それぞれの魅力にブーストをかけるのが林檎曲の持つ力であると考えると、同曲は、今後のSexy Zoneの方向性をさらに進化させる“転機”となるかもしれない。