宗教2世問題がクローズアップされた1年、脱会した私が感じたワイドショーへの違和感
いざ宗教から離れ、晴れて自由の身だ〜! と意気込んだのだが、いざ大学生活が始まると、周囲の人たちは、それまで接していたコミュニティの人たちとは“層”が違ったせいか、なかなかなじめなかった。むしろ親との関係で悩むこともなく、学業にバイト、恋愛に勤しんでいる周りのキラキラ大学生の姿を見て、「自分は何かが違うのだ」と強く感じるようになった。
しかも脱会したせいで、教団内の友達とのつながりも必然的に切れてしまい、親にも相談できない。ザ・孤独! 自分の人生は、皮肉にも宗教の上で成り立っていたのだということを実感した。この頃はよく夜に下宿先で泣いていた記憶がある。
大学生なのでムダに時間があるわけだが、私はそれまで宗教から逃れることばかりを考えていたので、自分のやりたいことなんて見当もつかなかった。「自分が疑問さえ持たなければ」と思うこともあった。親の言うことに素直に納得して、敬虔な2世信者でいられたら幸せだったのかな〜とパラレルワールドの自分に思いを馳せるのは、2世あるあるではなかろうか。
脱会した2世、恋人に「そんな親がいる人と結婚なんてできないから!」と振られ……
そんな自分も時間をかけてようやく理解してもらえる友人を数人見つけ、メンタルも安定し始めた頃、とんでもなく“ありきたり”な事件が起こる。こんなこと、人様に読んでいただくような内容ではないのかもしれないのだが……恋人に振られたのである。
なんせ初めてできた恋人だったので、ひどく落ち込んだのだが、別れ際「そんな親がいる人と結婚なんてできないから!」と家庭環境をイジられたのである。今思えば、単なる痴話げんかに過ぎないのだが、それもそうだな……と思い、やけに落ち込んでしまった。
もういろいろと限界だった私はふと思い立ち、親にメールを送ることにした。全てあんたらのせいだ……! という気持ちを込めた呪詛のようなメールである。そうすると父親から「一度話し合おう」という内容のメールが返ってきた。2週間後、父親と久しぶりに会うことになった。思えば私は2世であることへの不満を親に打ち明けたことは、それまで一度もなかった。そして……まさかの次回に続く!