宗教2世問題がクローズアップされた1年、脱会した私が感じたワイドショーへの違和感
ずっと報道を見ていると、「教義」や「信者の献金事情」を紹介するくだりがあるということがわかった。「メシアの再臨が……」「教団には、絵や呉服などを購入することで、喜んで“献金する”という文化がある」などなど。ときに、実際に信じている人をスタジオに呼んで、教義はどんなものか質問したりする。視聴者は「洗脳って怖いな」なんて思ったりしているのだろうか。
私は正直、「この時間いる?」と思った。
というのも、カルトと呼ばれる宗教は、たいてい教義のロジックよくわからないからね? どこもお金を集めるための仕組みというのは必ずあるよ? そもそもすごく歪なもので、弱者を助けるという側面だけではないのがカルト宗教なのに。
なので、なぜそれを今さら熱心に報じているのか不思議に思ってしまったのだが、意外と知らない人がいるのだな……だからこういった報道のされ方をするのだな……と自分と、世間の感覚のギャップを感じてしまった。元2世としては、そういった内容より、これからどうすべきかを話し合ってくれ〜という思いが先に立ちました。
宗教2世の苦しみを乗り越えた人は取り上げないワイドショー
そしてついに報道では、現役の2世信者が登場しだした。彼らは今まで自分がどんな仕打ちを受けてきて、それがいかにつらかったかを口にする。わかる、わかるぜそのつらさ……! 最初の頃は共感していたのだが、そのうち、別のことが気になるようになった。
つらい経験を話す人は何度も登場するのだが、ワイドショーやニュース番組には、それを乗り越えた人が全然出てこないのだ。親と和解した人や、社会人になって宗教からフェードアウトしていった者、本当は信じていないけれど親の手前だけ信じるふりをして何とか乗り切っている者……。
2世の悩みの解決方法はまさに千差万別なので、そういったトピックこそ今悩んでいる人が必要としている気がする。確かに「社会人になってフェードアウトしていくうちに悩まなくなりました」では、一般の人は面白くないかもしれないが……。どの報道もそういった視点が抜け落ちていたのは少し残念だった。
せっかくなので、自分がどう乗り越えたかを語りたい
というわけで、前置きが長くなってしまったが、自分がいかにして2世の悩みを解決したかを書いていきたいと思う。自分の2世としての人生の中で、1番のターニングポイントはなんだったのかというと、それは“親と初めてきちんと向き合う”ことだった。これは以前、「となりの脱会くん」で書いた内容の後日譚である。恐ろしく個人的な内容になってしまうのだが、もし誰かの参考になればうれしい。
大学生の頃、私は大学に通うため実家を離れて、すぐ無断で宗教を脱会するというパンクな行動を取ってしまい、親との関係が険悪になってしまった。連絡は必要最低限になり、養われている身分のくせに、気づけば約3年、親の顔も見ないようになっていた。