宗教2世問題がクローズアップされた1年、脱会した私が感じたワイドショーへの違和感
「『カルト』と呼ばれる新興宗教の信者である両親の元に生まれた私は、子どもの頃からずっと(うさんくせぇ……)と思ってきた」――サイゾーウーマンで昨年、短期連載された「となりの脱会くん」。その筆者である「脱会くん」ことライター・DJ2世は、安倍晋三元総理銃撃事件により、この1年、いまだかつてないほど「宗教2世」問題がクローズアップされた状況をどう見ていたのか。今回、寄稿いただいた。
旧統一教会問題で宗教2世界隈に緊張が走る!
平穏というのは長く続かないものである。宗教を離れてはや数年、悩んでいた過去は今となっては他人の記憶のよう。どうかこのままで……と毎回願うのだが、ふとした瞬間に自分が2世だったことを思い出す出来事が、定期的にやって来る。それは身の回りで起こる出来事であったり、SNSや報道で目にするものだったりする。
そんな中、世間を騒がせる大きな事件が起こる。昨年7月の安倍元総理銃撃事件である。この事件は、元首相が亡くなるというショッキングな内容であったことに加えて、全容が明らかになるにつれて、政治と宗教、とりわけ宗教2世の問題が取り沙汰されていくことになった。この約1年間は、この宗教2世問題が、今まで類を見ないほどクローズアップされた。今回はこれらの報道に対して、宗教2世である自分がどんなことを感じたのかをつづってみようと思う。
「なんか、2世ですいません」報道を見ていて湧いてきた思い
不謹慎に感じられたらすみません。「あぶね〜〜〜!!!」第一印象はこれに尽きる。自分がまさに2世として悩んでいる最中だったり、敬虔に信じている人だったりしたら、とても耐えられなかっただろう。自分はもう2世としての悩みをある程度乗り越えられていたから良かった。
ただ、最初は他人事のように報道を見ていてたのに、ふとつらかった記憶を思い出し胸が痛んだ。なんか、2世ですいません。そんな思いが湧いてきた。
とはいえ2世問題がようやく取り沙汰されるようになったのはとても良いことだと思うので、これは自分にとって、ムダな痛みではないのかもしれないと気持ちを切り替えた。日本社会が発展する成長痛、もっとやっちゃってください。