Snow Man・ラウールは未成年で「桶ダンス」……メディア研究者に聞く男性アイドルの性的消費問題
――田島先生が教える学生さんたちのように、ジャニーズファンの中には、担当が性的な売り方をされていることに葛藤を覚えている人もいます。今後、どのようにアイドルを応援すればよいのでしょうか。
田島 一番は性的搾取だと思うような出来事があったときに、「傷つく人はいないだろうか」と少し立ち止まって想像してみてほしいです。ここ数年で多様なものに対する可視化と許容がなされるようになって、さまざまなファンやアイドルがいること、解釈の仕方も一人ひとり違うことが認識されつつあります。だからファンもアイドルも、性別によって一くくりにしてはいけないですよね。
それに最近は、ファンだけでなく、アイドル側にも、ジェンダーやセクシュアリティの事柄について問題意識を持ち、葛藤しながら活動している人も増えているように感じます。
――ファンの中には、具体的にアクションを起こせないことのもどかしさを抱える人もいると思います。
田島 葛藤を抱えること自体が、この問題に対して意識的な証拠です。事務所やアイドル本人に直談判などはできずとも、今は疑問に思ったことに対して、SNS等で声を上げやすくなりました。自分はマイノリティだと思っていたけれども、実は「サイレント・マジョリティ(モノを言わない多数派)」ということもあります。
一方で、アイドルも自分たちと同じリアルな人間であることを忘れてはいけないですよね。SNSは応援しているアイドルも含め、誰にでも見られる可能性がありますし、想像以上の発信力を持つこともある公的な空間です。そのことを念頭に置いた発信を心がける必要があると思います。
そして、「ファン」「アイドル」さらには「事務所」と大きくくくって語ってしまうあまり、そこに存在する多様なあり方を忘れてしまいがちになることを肝に銘じておきたいですよね。これは自戒も込めて。