平野紫耀ら退所の“内幕”記事がきっかけ――なぜ「文春」はジャニーズを徹底糾弾したのか?
ジャニーズ事務所創業者・ジャニー喜多川氏(2019年に死去)をめぐる性虐待問題が表面化して以降、性被害者の告発や、同問題による所属タレントの降板劇などを毎週掲載してきた「週刊文春」(文藝春秋)。しかし、7月27日発売の最新号では、ジャニーズに関するニュース記事が一つも掲載されておらず、これは「編集長の交代の影響によるもの」(スポーツ紙記者)と、マスコミ界隈で指摘されているという。
3月に英国公共放送・BBCは、ドキュメント番組『Predator: The Secret Scandal of J-Pop』を放送し、ジャニー氏の性加害問題、そしてその問題を日本の主要メディアがほとんど取り上げずにきたことを徹底追及。
一方「文春」は、1999~2000年にかけ総力をあげてこの問題を特集。その後、ジャニーズ側が「文春」を相手に名誉棄損で訴訟を起こし、「文春」側は4つの争点で敗訴したものの、東京高裁がジャニー氏の性的虐待を“真実”と認定していた。
「『文春』はBBCのドキュメントにも協力していましたし、この問題を追及するのは我々の仕事だと自負があるのでしょう。性被害を受けたという元ジャニーズたちの“告発”記事を連発し、事務所を徹底的に追い込む姿勢を見せてきました。ところが、今月27日発売号には、ジャニーズ関連のニュース記事が1本もなかった。マスコミ関係者の間では『編集長が交代し、さっそく方向転換したのか』とささやかれています」(同)
近年、「文春」は加藤晃彦氏が編集長を務めていたが、今月から経理局へ異動。これまで特集班デスクだった竹田聖氏がその後任となった。
「雑誌は編集長によってガラリと“色”が変わるもの。どうやら前編集長の加藤氏は、ジャニーズ現社長・藤島ジュリー景子氏や、副社長の白波瀬傑氏を退任させることを最終目標に記事を連発していたそうなのですが、竹田氏はそこまでこの問題に力を入れる方針ではないのでしょう」(同)
ジャニーズに訴えられた「文春」、告発記事連発の理由とは?
加藤氏がジャニーズの追い込みに執念を燃やしていたのは、同誌がジャニーズ批判の急先鋒であるという自負以外にも、別の歴然とした理由が存在しているようだ。
「昨年11月4日、King&Prince(以下、キンプリ)から平野紫耀ら3人が脱退・退所すると発表されたことを受け、同10日発売の『文春』は、その内幕を詳報。自身らの進路に悩むキンプリメンバーと面談したジュリー氏が『私のこと嫌いなんでしょ。あんたたちなんか私の手に負えないから知らない』と言い放ったこと、ほかにも昨年10月末をもって事務所を離れた前副社長・滝沢秀明氏とジュリー氏の間に“溝”ができていたことなどが事細かに書かれていました」(同)
この時、ジャニーズ側は「事実と全く異なる虚偽の内容を多々含む記事であり、法的措置を検討しております」と異例のコメントを発表。のちに「文春」を提訴した。
「当然、『文春』側は面白くありません。そこでジャニーズ側への“報復”として、性加害問題の告発記事を、被害当事者の声を交えて連発するようになった……といわれています。結果として“文春砲”を浴びまくったジャニーズは、今や壊滅的な状態に。マスコミ界隈では『もしあの時、ジャニーズが「文春」を訴えていなかったら、どうなっていたのか』『「文春」のジャニーズ批判もここまで徹底したものにはならなかったはずだし、事務所の存続を揺るがすほどの事態にはなっていなかったのでは』と盛んに指摘されています」(同)
このたび編集長が代わり、ジャニーズ批判が一旦ストップしたとはいえ、もはや事務所は、安堵できる状況ではない。ジュリー氏は「文春」への提訴について、今どう思っているのだろうか。