『ドキュメンタル』シーズン12、“永遠の悪ガキ”近藤真彦の居場所はここにあった!
そんなマッチさんが豪語した「一撃必殺」とは何なのか。
メイン会場からいったん姿を消したマッチさん。何か仕込みに行ったに違いない。しばらくたって戻って来ると、スパンコールをあしらったデニムのノースリーブと短パン、さらにバンダナとデビュー当時風のヅラ姿で登場。そして、
「マッチでーす……」
いまだかつて、こんな乾いたトーンかつテンション低めの「マッチでーす」を聞いたこと、あるだろうか。たぶん、ない。
実はマッチさん、冒頭で「マッチでーす!」は自分で言ったことがないと明かしていた。あくまで片岡鶴太郎をはじめとするモノマネタレントがやっているだけのネタであり、つまり木村拓哉の「ちょ、待てよ」と同じカテゴリーのものというわけだ。
しかしこの冒頭の「自分で『マッチでーす!』と言ったことない」発言は、マッチさんなりの“フリ”だった。
マッチ(令和)がマッチ(初期型)のコスプレをしている、そして「マッチでーす」と言った――このインパクトで一撃必殺を狙っていたんだと思う。しかし、この渾身のコスプレ、残念ながらややウケに終わってしまった感がある。玉ねぎに向かって「黒柳さーん!」と呼びかけていたのは、まあまあウケていたが。
その後も大ピンチの連続のマッチさん、どう見ても今回、最弱だ。たのきんトリオといえば、トシちゃん(田原俊彦)のバカ笑いのインパクトが強かったけれど、もともとバラエティやコントが大好きなマッチさんは、ゲラだったかもしれないなと思った。
そんなマッチさん、思わぬところでクリーンヒットを放つ。
早々に退場してしまいそうな気配に、「すぐ退場したらどうするんですか?」と問われると、わりと真顔で一言、
「お話を聞きます」
と言ったのだ。これが何人かのツボに入った。狙い通りにはいかず、思わぬところで笑いを取る。それがマッチさんだ。
果たしてマッチさん、生き残れたのかどうかは割愛しておくが、結局、「マッチが出るの!?」 という登場時の衝撃と、初期コスプレがすべて――ある意味「出オチ」だったのかもしれない。
ジャニーズ退所の自虐ネタに走らなかったのは、近藤真彦のプライドか?
とはいえ、アイドルウォッチャーとして、今回の『ドキュメンタル』はあらためて近藤真彦の魅力を十分に感じさせるものだった。
あの開始前のビッグマウスこそ、若い頃に大御所から気に入られた理由だったはずだ。ジャニーズ時代の後半は、そこが後輩ファンに煙たがられることもあったが、マッチさん、デビュー40年を超えても、本質は全然変わっていないんだなと、感慨深かった。
そして、ジャニーズ事務所を辞める原因となった騒動など、マッチさんのような存在の人がやれば、確実に笑いを取れそうな自虐ネタに走らなかった点もよかった。「マッチでーす(低テンション)」が、マッチさん的に最大の自虐だったのだろうか。だとすれば、この線引きは、関係者の意向というより、マッチさんのプライドだったのかもしれない。
終了後、「今度こそ一撃で!」と吠えていたマッチさん。こうした幾つになっても変わらぬ“マッチ節”が、周りからウザがられず、いじってもらえる環境でこそ、彼の魅力は輝く。永遠の悪ガキの居場所は、ここにあったのかもしれない。
サイゾーウーマン ジャニーズ情報専用Twitterアカウント「J担しぃちゃん」オープン