『ザ・ノンフィクション』国際結婚夫婦、無職のまま台湾へ――ギリギリの生活を救ったもの
6月18日放送の『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)、テーマは「僕とあなたのあしたは… ~海を越えた結婚の行方~」。
『ザ・ノンフィクション』あらすじ
神奈川県川崎市に暮らす、祐介(34歳)と詠心(32歳)夫婦。祐介はいわゆる「筋トレガチ勢」で、朝は1杯のプロテインから始まり、取材中もやたら上半身裸で過ごし、「フィジーク」と呼ばれる肉体美を競うコンテストが開催されるとなると、会場が大阪でも出場するほどの熱の入れようだ。
詠心は台湾出身で、台湾の大学を卒業後、劇団四季の舞台メイクに憧れ、東京の専門学校に留学。2人は8年前に都内のシェアハウスで出会い、祐介の一目ぼれから交際が始まり、5年前に結婚した。
詠心は現在、写真館でメイクや着付けのアルバイトをしているが、前の職場では目の前で客から「日本人の担当者に変えてほしい」と言われたことがあったという。異国で働くことの難しさも感じる中、近い将来子どもが欲しい詠心は、子育ては故郷の台湾でしたいと思うようになる。祐介は約3年周期で気の向くままに仕事を変えており、現在の動画制作の仕事は気に入っているものの、仕事上どうしても台湾に行けないというわけではなさそうだ。
しかし祐介は子どもを持つことに消極的。北海道の漁師町で育った祐介は荒々しい地元の気質になじめず、中学時代にひどいいじめに遭った過去が。子どもに同じような経験をさせたくない思いもあるようで、祐介は母親に「結構、この世はつらいんだよね。あえてこのつらい世の中に(子どもを)誕生させていいんだろうかって思う」と涙ながらに話す。
いっときは子どもを望む詠心との離婚も検討していた祐介。しかし詠心と別れたくない気持ちもあったようで、夫婦の話し合いの末、祐介は台湾移住に了承する。日本から台湾の就職活動がままならかったため、夫婦2人とも無職での移住だ。
詠心は派遣の仕事が見つかったが、祐介の職探しは苦労する。詠心と付き合いだしてからは日々中国語の日記を書き続け、詠心との会話も日中二カ国語だった祐介は、中国語は簡単な日常会話ならある程度はこなせ、詠心の親とも中国語で話していた。
だが、ビジネスでの会話となると大きく勝手が違うようで、オンライン面接では企業から就労ビザの有無を聞かれたのだが、祐介は交通手段を回答するなど食い違いを見せ、結局不採用となってしまう。
貯金残高が目減りしていく中、祐介が何の気なしに、台湾の移住生活を題材にした動画を作り、中国語の字幕を詠心がつけネットで配信したところ、これが台湾を中心に大きくバズり、生計、しいては今後の見通しも見えてきたようだ。番組の最後、「念願の子どもはつくりますよ、おそらく」と祐介は話していた。
『ザ・ノンフィクション』他人の選択に身を任せることもアリ
祐介は詠心に押し切られる形で移住し、言葉の問題で仕事もさっぱり決まらずぎりぎりの生活の中で、YouTubeがたまたまバズりと「九死に一生を得た」ような感じで番組は終わった。
動画がバズらなかったら夫婦は一体どうなっていたのだろうとも思うが、「この世はつらい」と話し、そんな人生観から子どもを持つことにもネガティブだった祐介は、番組の最後では「子どもはつくりますよ、おそらく」と話すなど、少しポジティブになっているように見えた。
慣れない海外生活や、動画から注目を浴びるなど、それまでの暮らしとはまったく違う環境で目まぐるしい日々を過ごしていくうちに、過去のつらい経験に折り合いをつけられるようになったのかもしれない。
暗い気持ちで下す選択は、どうしても暗いほうに行きがちだ。なので、暗くなりがちな人や、気分が落ちているときほど「自分では思いもよらない、他人の選択に身を任せる」という選択は、リスキーだがアリなのかもしれない。思いがけない出来事続きで、表情が少し精悍になった祐介を見て思った。
『ザ・ノンフィクション』フィジークとボディビルの違い
ちなみに、祐介が出場した筋肉美を審査する競技「フィジーク」は、「ボディビル」と何が違うのか調べてみた。ともに筋肉美を競う点は一緒なのだが、ボディビルは筋肉量を重視する一方で、フィジークはトータルバランスを重視し、筋肉が多ければいい、というものではないそう。またハーフパンツを着用することもあって、審査対象に脚は入らないなど、細かな違いがあるようだ。「ボディビル」と「フィジーク」で画像検索して比較をすると、両競技が求める肉体の違いがよくわかる。
次回は「夢を追うタクシー ~目的地はまだ遠くても」。練馬区にある「コンドルタクシー」は、「タクシードライバーと芸能活動の両立OK」という珍しい会社だ。運転手として働きながら、芸能界での成功を目指す30代の男女を見つめる。