獄中では「日本地図」がダントツ人気! 元女囚が教える、受刑者たちの読書事情
あと、生徒さんに「どんな本が好き?」と聞くそうで、みんなヒマでけっこう読んでますから、盛り上がります。ムショには「官本」(かんぽん)ちゅう備え付けのタダの本がありますが、みんな読むからボロボロやし、時代小説とか『ノルウェイの森』(講談社)とか大昔のベストセラーとかです。漫画も古かったですね。
シャバとつながってる人は差し入れてもらえるので、瑠壬も家族にいつもお願いしてました。暴力団関係や自殺、脱走、強盗とかの犯罪に関する本は差し入れ不可やったり、黒塗りされたりしますが、施設の判断で「X刑務所はアリやったのにY刑務所はアカンかった」みたいな感じです。
エロ本はあまり過激でなければ黒塗りナシで入りますが、男子刑務所はアソコに真珠を入れる「玉入れ」の方法が載っているものはNGだとか。ちなみに元・怒羅権の汪楠(ワン・ナン)さんの本にも書いてあって、黒塗りされたそうです。
BLもOKで人気なのですが、瑠壬は何も考えてない夫からBL本を差し入れられて、「別れの合図」かと思って泣いたこともありました。
旅行やタウンガイドみたいのも人気で、生徒さんたちの間では「日本地図」がダントツの人気やとか。「飽きないから」やそうですが、女子はそこまで好きやないかも? でも瑠壬は地図でいつも「エアードライブ」してましたけど(笑)。地図を見ながら、いろんな場所へのドライブを妄想するんです。それだけでも楽しかったですね。
あと、差し入れられた本は自分しか読んだらアカンのですが、これを竹中さんが驚いてました。獄中(なか)では、食べ物でも本でもなんでも、あげたりもらったりはご法度です。
昔は懲役同士の上下関係がめちゃ強くて、強い懲役が食べ物を取り上げる「シャリ上げ」とかがあったからとちがいますかね。例えば、お年寄りが残した卵焼きをぱくっと口に入れたところを刑務官に見られたらソッコーで懲罰案件でした。今は大目に見てもろてるといいですが……。