『unknown』は、現代版ときめきトゥナイトか? 第1話が「思ってたのと違う」ワケ
高畑充希と田中圭がダブル主演を務める火曜午後9時台の連続ドラマ『unknown』(テレビ朝日系)が4月18日にスタート。第1話の世帯平均視聴率は7.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で、前クールの同枠『星降る夜に』の初回7.7%から微減した。
同ドラマは、『おっさんずラブ』シリーズ(同)や『恋はDeepに』(日本テレビ系)の徳尾浩司氏が脚本を手掛けるオリジナル作品。連続殺人事件が起こる町を舞台に、秘密を抱えたカップルの愛を描く本格ラブ・サスペンスで、同作のために『おっさんずラブ』のスタッフが再集結したという。
※以下、『unknown』第1話のネタバレを含みます。
第1話では、吸血鬼であることを隠しながら生きてきた週刊誌記者・闇原こころ(高畑)と、バツイチの交番警察官・朝田虎松(田中)が出会い、交際を開始。1年後、互いに結婚を意識する中、虎松が世話を焼いている駄菓子屋の店主・今福梅(木野花)の自宅で火事が発生する。
中に取り残された梅を助けるために突入した虎松は、彼女を助けた代わりにタンスの下敷きになってしまうが、駆けつけたこころが吸血鬼ゆえの怪力で救出。「なんであんな重いものを……」と驚く虎松に、こころが「私ね、吸血鬼なんだ。それでも好きでいてくれる?」とカミングアウト。虎松はそれを受け入れ、後日「結婚しよっか」とプロポーズする。
一方、2人が暮らす春陽町では、“血を抜かれた遺体”が発見される殺人事件が発生。遺体のそばには、吸血鬼のイラストと謎の数字が残されていた……。
随所にシリアスさが漂いつつも、主人公の父・海造(吉田鋼太郎)が典型的な吸血鬼スタイルである“黒いマント”にこだわっていたり、こころが会社で“血液タブレット”を隠れて食べたりと、漫画のようなファンタジー描写が際立っていた同作。
放送前には、ネット上で「吸血鬼っていう設定いるか?」と不安視する声が目立ったが、始まってみると「真面目路線のサスペンスかと思ってたら、思いっきりファンタジーでワクワクした!」「思ってたのとだいぶ違ったけど、めちゃめちゃ面白い!」」と好意的な感想も多いようだ。
また、主要な登場人物の設定や、こころと海造のコミカルなやりとりから、吸血鬼と狼女を両親に持つ少女・江藤蘭世が主人公の大ヒット少女漫画『ときめきトゥナイト』(集英社)を想起した視聴者も少なくなかった様子。そのため、「『unknown』って、現代版『ときめきトゥナイト』じゃん!」「鋼太郎さんのキャラが、『ときめきトゥナイト』の蘭世パパみたいだった」といった指摘も散見される。
同作のように、主人公が突飛な設定の連ドラといえば、互いに忍者であることを隠しながら結婚生活を送る夫婦を描いた菜々緒主演『忍者に結婚は難しい』(フジテレビ系)が記憶に新しい。
さらに、主演の深田恭子が泥棒一家の娘を好演した『ルパンの娘』(同)は、ファンタジックな世界観とキャストの振り切った演技が話題を呼び、シリーズ化も果たしている。
一方、不評だったのが、前出の『恋はDeepに』。“実は人魚”である海洋学者・渚海音(石原さとみ)と、不動産企業の御曹司・蓮田倫太郎(綾野剛)の恋模様が描かれた同作だが、放送当時、「突飛すぎて、ドラマの世界観に入り込めない」「全体的にコントに見える」と否定的な意見も目立った。
『unknown』も同じく徳尾氏の脚本ではあるが、今回はテレ朝らしいバランスの取れた演出や演者のナチュラルな演技のおかげで、設定の違和感はかなり軽減されるのではないだろうか。
「究極の愛」という大きなテーマを掲げ、初回から制作陣の意欲が感じられた『unknown』。今のところ『恋はDeepに』の二の舞いは回避できそうだ。