SixTONES「肥」はなぜ炎上したの? ジェンダー学の専門家に聞く“ジャニーズとルッキズム”
——問題があることはわかっても「SixTONESが批判されているのを見るのがしんどい」というファンもいると思います。
田中 私にも推しがいるので、ファンが「推しは悪くない!」と思いたい気持ちはわかります。でも今回の件については、SixTONESメンバーの言動が問題なわけではないですよね。
批判している人も、多くはSixTONESのメンバーではなく、プロデュースの環境や裏方として携わっているスタッフの人権感覚、ジャニーズ事務所のチェック体制、そして日本社会における人権教育の遅れを批判しているのだと思います。
——ファンからの批判によって、ジェンダー観や人権感覚が改善されたアイドルもいますよね。例えば、女性蔑視的な歌詞の曲があったBTSは、ファンから批判されたことで、ミソジニー(女性嫌悪)から脱却するきっかけになったことは有名です。日本のアイドルも、BTSのようにアップデートすることは期待できますか。
田中 期待はしています。2010年頃までは男性グループというとジャニーズ事務所一強でしたが、最近はK-POPの影響を受けたグループなど、多彩なボーイズグループが活動しています。ファンの指摘を受け取って、それに応答しながら成長するグループが出てくることを期待したいです。
——今回はSixTONESでしたが、ジェンダーやルッキズムに関する発言で批判された経験のあるジャニーズは数知れず。もしかしたら、自分の推しが炎上する可能性もあります。そんな中で“推し活”をする人々へメッセージをお願いします。
田中 エンターテインメントはグローバル化しています。グローバルスタンダードなジェンダー観や人権感覚に照らし合わせて、ファンが推しを育てるという意識も大事になってくると思います。
もし推しが炎上したとしても、推しの存在や人格が攻撃されているわけではなく、対象となる言動が批判されているだけ。批判している人も、「その行為をやめてほしい」とか「なぜ問題なのか知ってほしい」という願いを込めて声を上げているんです。なので、批評することと推しを愛することは両立すると覚えておいてください。
あと、これは実体験からのアドバイスになりますが、推しが1人だけの場合、何かショックな出来事があったときにダメージが大きすぎるので、「推しは複数持とう」とも言いたいですね(笑)。