『Get Ready!』全話平均2ケタ割れも――視聴者を引きつけた“鈴木亮平の使い方”
妻夫木聡が主演を務める日曜劇場『Get Ready!』(TBS系)の最終回が3月12日に15分拡大で放送。世帯平均視聴率は6.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で、自己最低を記録した。
同作は『救命病棟24時』シリーズ(フジテレビ系)などで知られる飯野陽子氏が脚本を、『TRICK』シリーズ(テレビ朝日系)の堤幸彦氏が演出を手掛ける1話完結の医療ドラマ。
法外な治療費と引き換えに患者の命を救う闇医者チーム「仮面ドクターズ」の活躍を描き、主人公の波佐間永介(エース)を妻夫木、交渉人・下山田譲(ジョーカー)を藤原竜也、凄腕オペナース・依田沙姫(クイーン)を松下奈緒が演じる。
同作は、これまで第9話の8.3%が自己最低だったが、前出の通り最終回で大幅に更新。これは、テレビ朝日系で中継していた野球の世界大会『2023 ワールド・ベースボール・クラシック』の1次ラウンド「日本対オーストラリア」戦(43.2%)と“裏被り”していたためとみられる。なお、全話平均は9.4%だった。
※以下、『Get Ready!』最終回のネタバレを含みます
第10話にあたる最終回では、ジョーカー不在の中、余命3カ月の娘・寺内結衣(小田愛結)の命を救ってほしいという母親・寺内香苗(徳永えり)から依頼を受け、エースが早速交渉に向かう。しかし、13年前に救えなかった少女・坂本青葉(志水心音)と患者を重ねてしまい、トラウマからオペができなくなってしまう。
一方、警視副総監・高城秀和(沢村一樹)が指揮する捜査の手は、闇医者チームの目前まで迫っていた。高城は結衣の手術と引き換えに仮面ドクターズを見逃すが、捜査を幕引きさせるためにジョーカーを逮捕。闇医者チームは解散するも、その後、ジョーカーが出所したタイミングで再結成するという展開だった。
同作は放送開始当初、自ら患者に営業をかける闇医者チームの設定に対して、「闇医者側から営業かけといて、後で助けるかどうかはわからないって言い出すのが意味不明」「闇医者が必死で営業しててダサいし、手術が失敗してもリスクないし、緊迫感がまるでない」などと疑問の声を上げるネットユーザーも多かった。
しかし、回が進むにつれ、さまざまなパターンのストーリー展開が描かれるようになり、次第に引き付けられる視聴者が増えていった印象だ。
加えて、第8話でようやくエースの過去が描かれたことで、「やっとキャラクターに感情移入できる」「主人公の背景が理解できたことで、断然面白くなった」と喜ぶ視聴者が続出。これほどまでに評判が好転したドラマも、なかなか珍しいのではないだろうか。
また、第3話では、俳優・鈴木亮平が「謎の運び屋」役でサプライズ登場。登場は数秒だったものの、意味深なシーンが話題となり、以降、放送のたびに「鈴木亮平、まだ?」と再登場を心待ちにする視聴者が見られた。
そして、散々引っ張った挙げ句、最終回で結衣と香苗を警察の追手を撒きながら手術室まで輸送するタクシードライバー役で登場。それまで「物語に絡んでくる重要人物であるに違いない」と予想していた多くの視聴者を裏切る格好となったが、放送後には「重要人物と匂わせといて、全然違ったのが逆によかった」「鈴木亮平の贅沢な使い方が最高だった」と賛辞も目立った。
鈴木の“巧妙な使い方”により、最終回まで視聴者の関心を引くことに成功した印象の『Get Ready!』。日曜劇場の視聴率としてはイマイチだったものの、続編はあるだろうか……。