アンタッチャブル、コンビMC番組を任されなかった理由――テレビ関係者が語る「初ゴールデン冠レギュラー」の行方
1994年結成の山崎弘也、柴田英嗣からなるお笑いコンビ・アンタッチャブルが、苦節30年でようやく栄冠をつかんだ。4月11日から『ひらけ!パンドラの箱 アンタッチャブるTV』(フジテレビ系)がスタートするのだ。彼らはゴールデンタイムで初めて、レギュラーMCを務めることになった。
彼らの同期には、事務所は異なるものの、タカアンドトシ、ブラックマヨネーズといった実力派の面々がいる。彼らがそれぞれ早い段階でゴールデンのMCを担当する中、取り残された感があったのがアンタッチャブルだった。
「個々の活動を含めると22本のレギュラー番組を持つ売れっ子ですが、コンビのテレビレギュラーは『証言者バラエティ アンタウォッチマン!』(テレビ朝日系)、『腹ペコ魔人のグルメな魔法 脂過多ブラ』(東海テレビ)に他コンビとの交代制など合わせて4本。今までどうしてMCを任せてもらえなかったのか、というのが一般的な見方でしょう」(芸能ライター)
だが、ここまで長くかかったのには理由があった。
「『M-1グランプリ2004』(テレビ朝日系)で優勝し、一躍ブレークした彼らですが、柴田は2010年、元交際相手の女性とのトラブルで警察から事情聴取を受けます。プロダクション人力舎の創業者の玉川善治社長(当時)は彼に対して謹慎処分を告げましたが、それが解けないうちに死去。山崎は社長の遺志を継いで、柴田が完全に更生するまでコンビ復帰をしないと決めており、2人による活動が再開したのは、約10年後、19年の『全力!脱力タイムズ』(同)でのことでした」(テレビ業界関係者)
さらに、彼らのコンビバランスも若干影響していた。
「『M-1』後、先に売れたのが『ザキヤマ』の愛称で親しまれた山崎。ガヤ芸人として多くの番組に呼ばれるようになりますが、そのイメージが先行するあまり、コンビでMCを担当するという構図が見えにくくなってしまったのです。一方、柴田は仕切りはできますが、先のトラブルでピン芸人としての活動を余儀なくされました。またそれ以降、ボケである山崎の発言権と存在感が大きくなりすぎて、ツッコミの柴田が弱体化。アンタッチャブルがコンビで司会をするという青写真も見えにくくなってしまったのです」(同)
そんな2人だが、新スタートの番組では、どんな立ち振る舞いを見せるのか。
「同番組は、昨年5月までに計4回放送された特番『パンドラTV』のレギュラー化です。日本全国の触れてはいけない秘密や謎(=パンドラの箱)を体当たりで取材した映像を見るという、VTR主体のプログラム。アンタッチャブル2人のコンビネーションはさほど重視されないと思われます」(同)
ただ、放送時間である火曜夜9時の裏番組には、『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)、『マツコの知らない世界』(TBS系)の2番組がしのぎをけずっている。
「『パンドラTV』時代は、埼玉の心霊スポットと言われる場所に響き渡る怪奇音の正体や、ニュースにもなった日本上空に現れる“謎の気球”の正体を3カ月かけて徹底調査するなど、興味深いネタを取材していました。ただ、こうした番組はネタのピークがすぐ来てしまい、消耗も早いのがデメリット。ネタ切れになれば、裏番組とは勝負にならない可能性があります」(同)
さらに、以前、フジの同時間帯で放送されていたのは、低視聴率で打ち切られた所ジョージの冠番組『所JAPAN』だ。
アンタッチャブル初のMC番組は、どこまで数字を伸ばすことができるのか。特番枠に戻らないことを祈りたい。