『ザ・ノンフィクション』新宿二丁目の深夜食堂、77歳名物ママの特殊な“地雷”とは?
日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。3月12日は「新宿二丁目の深夜食堂 前編 ~人生を奏でるビール瓶~」というテーマで放送された。
『ザ・ノンフィクション』あらすじ
新宿二丁目の雑居ビル2階にある、深夜0時から朝9時まで営業の深夜食堂「クイン」。調理担当の夫・孝道とホール担当の妻・りっちゃんという、ともに77歳の夫婦で切り盛りしており、1970年の開業から50年間以上も、新宿の街を見つめてきた。
「クイン」の店内は黒を基調とし、観葉植物や額縁に入った絵画が飾られ、昔ながらの純喫茶とスナックを足して2で割ったような雰囲気だ。メニューの定食は400円台のものからあり、焼き魚、煮魚など魚系のメニューも豊富。飲んだあと、仲間と連れだって「クイン」を訪ねた客は、ご飯とおかずと味噌汁を前に「飲んだ後に食べるご飯うまいね」と微笑む。
孝道とりっちゃんの出勤は毎日午後11時半。孝道は自転車通勤だが、りっちゃんは自転車で転んでから、タクシー通勤だ。りっちゃんはいざ店内に入れば威勢よく場を取り仕切るが、2階にある店に向かうための階段を上るのもつらそうで、夫婦は引退も考えている。しかし、客からは続けてほしいと懇願されているという。
「クイン」を訪れる客も個性的だ。週末に現れるケイコは普段は会社員をしているが、女装をしてクラブで踊ることにハマり、新宿に部屋まで借りる熱の入れよう。飲んで踊ったあとに「クイン」のドライカレーを食べ、一息つく。
25歳で塾講師をしている葵は家族との間にわだかまりがあり、高校生の頃から一人暮らしをしている。父親と血がつながっていないことを小学校高学年で知り、また、母親も忙しかったようで、ご飯はお金を渡され、オリジン弁当で買うことが多かったと話す。
名物ママであるりっちゃんの人柄や、孝道の作る魚系のおかずに惹かれ「クイン」を訪れる葵だったが、ある日、葵はお金を下ろすのを忘れ「クイン」で飲食をしてしまい、撮影していた番組スタッフにお金を借りて支払おうとしたことが、りっちゃんの逆鱗に触れる。金を貸そうとしたスタッフや、店にいた周りの客が葵の分は自分が払う、と言ったのも良くなかったようで、葵が近所のコンビニにお金を下ろしに行くまで、また行った後も、りっちゃんの怒りは冷めやらぬようだった。
『ザ・ノンフィクション』りっちゃんの“地雷”に違和感
葵のお会計の件で、りっちゃんはずいぶん葵を叱っていたように見えた。飲食店でご飯を食べ、うっかり財布にお金がなかったときに「その場にいて、また会えそうな人から金を借りて支払う」と「近所のコンビニで下ろしに行く」のどちらも問題ないように思うのだが、りっちゃん的には前者の行いは地雷だったようだ。
番組ナレーションはこのくだりに「今時こんなふうに若いお客を叱れる店主がいるでしょうか」とコメントを付けていたが、これにも違和感があった。店主が叱る正当性は「お客が明らかな悪事をした」という前提あってのことで、今世間で騒がれている「回転寿司店で客がふざけて醤油さしを舐める」みたいな明白な迷惑行為ならともかく、葵がしたことは悪事とされることなのだろうか。
なお、りっちゃんはその後、この件についてスタッフに「あなたが私を理解しなくてもそれはあなたの自由です」と話しており、本人としても、これは特殊な“地雷”である、という意識はあったのかもしれない。
叱られること自体、とても気が滅入ることだが、「相手が怒っているポイントがどうにもよくわからないまま叱られ、立場的に相手のほうが強いので反論もできない」というのはつらい。何より、食事のときは叱られたくない。
次週は今週の後編。引き際も考え始めた夫婦だが、いったい「クイン」はどうなるのか。