『警視庁アウトサイダー』最終回まで貫いた、賛否両論の“オヤジギャグ”演出
西島秀俊主演の刑事ドラマ『警視庁アウトサイダー』(テレビ朝日系)が3月2日の放送で最終回を迎え、世帯平均視聴率10.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録した。
同作は、事件現場で血を見ると白目を剥いて倒れてしまう元マル暴(警視庁組織犯罪対策部)の刑事・架川英児(西島秀俊)、秘密を抱えるエース刑事・蓮見光輔(濱田岳)、元演劇部の新米刑事・水木直央(上白石萌歌)の3人が巨悪に立ち向かう物語。
第1話は、世帯平均視聴率10.7%と2ケタだったが、第2話以降は8~9%台が続き、最終回は初回ぶりの2ケタに返り咲いた。ただ、全話平均は9.5%で、同枠前クールの岡田将生主演『ザ・トラベルナース』の全話平均12.1%と比較すると、少々寂しい印象だ。
※本記事は『警視庁アウトサイダー』最終回のネタバレを含みます
最終回は、同作の主軸となっていた10年前のホステス殺人事件の真実にたどり着き、意外な犯人が明らかになるストーリー。ちなみに、「最終回・拡大スペシャル」と大々的にPRしていたが、放送時間は午後9時から10時で、拡大したのは6分のみだった。
ネット上では、「犯人が予想と違ってて面白かった。濱田岳の演技が泣けた」「3人のやりとりが好きだったから、終わっちゃうのは悲しい」などの声が上がるなど、概ね好評の様子。
また、同作の特徴であるオヤジギャグや小ネタを差し込む演出は、最終回でも満載だった。例えば、石田ひかり演じる水木の母・真由が執筆したエッセイのタイトルは、『あすなろ白書』(フジテレビ系)をもじった『明日ならハクション』であり、その帯には「エッセイ尾形賞受賞!」の文字が。これはおそらく、ベテラン俳優・イッセー尾形が元ネタだろう。
なお、『あすなろ白書』は、30年前に石田と西島が共演した“月9”ドラマで、当時SMAPだった木村拓哉も男優2番手で出演。木村が俳優として大ブレークするきっかけになった作品だ。
さらに、ラストシーンは架川、蓮見、水木が缶コーヒーを飲みながら、架川のトレードマークである“後ろ歩き”をするという場面だったが、3人がそれぞれ手にしていた缶コーヒーは、松崎しげるの顔写真がプリントされた「しげるのブラックコーヒー」、尾藤イサオの「イサオの微糖」、欧陽菲菲の「欧陽珈琲」。
当初、この手の小ネタに対し、ネット上では「サブい」「センスが古い」とネガティブな声も多く、賛否を呼んでいた。
ただ、どうしても肌に合わない視聴者は早々に“脱落”してしまったのか、回が進むにつれ「ストーリーがかなりシリアスだから、小ネタのおかげで重苦しさが軽減されていいかも」「最初はギャグが多くて邪魔だと思ってたけど、このくらい明るい雰囲気が丁度いい」と好意的な声が増えていった印象も。
一方、西島とギャグの相性には厳しい反応も多く、「西島さんは好きだけど、コメディは合わないかな」「西島さん主演だったら、かっこいい刑事役で見たかった」という声は、最終回終了後にも散見された。
ギャグシーンが賛否を呼びながらも、制作サイドはこの作風を最後まで貫いた様子。続編を熱望する視聴者も見られるが、ヒットとは言い難い視聴率に加え、ストーリー展開的にもなかなか難しそうだ。