サイゾーウーマンコラムオンナ万引きGメン日誌万引き少年の母の絶叫 コラム オンナ万引きGメン日誌 高校中退の万引き少年の母「あんたに、なにがわかるのよ!」――Gメンに絶叫したワケ 2023/02/18 16:00 澄江(保安員) コラム 写真ACより こんにちは、保安員の澄江です。 毎年12月になると、決まって万引き被害は増加し、忙しい日々を過ごすことになります。被疑者の背景を聞けば、どこか寂しい話が多く、印象に残る人も多いです。昨年末には、高校を中退してから、日雇い仕事で生計を立てる作業着姿の少年を捕まえました。 懐に隠す手口で盗んだものは、クリームパンとファンタグレープの2点で、合計200円ほどの被害です。 「ちょっと、のどが渇いちゃったから」 身分を証明できるものは持っておらず、まだ16歳だという少年の所持金は30円ほどしかなく、商品を買い取ることもできません。すでに店長が警察を呼んでしまっているため、誰かに身柄を引き受けてもらわないと、いつまでも解放されない事態になること必至の状況といえるでしょう。そのことを伝えると、突然に語り始めたので、真摯に耳を傾けました。 「親と仲悪くて、高校も勝手に退学届を出されてやめさせられたんだ。だから頼んでも、迎えになんて来てくれないよ」 「ひどい話だけど、親が勝手に退学届けを出すなんてこと、あるかしら。で、いまは、ひとり暮らしなの?」 「ううん、おばあちゃんち」 少年の顔は幼く、職人さんが好む黒い作業着の上下に身を包んでいるもののまったく似合っておらず、キッザニアで遊ぶ子どものように見えました。 「おばあちゃんは、迎えに来られるかしら」 「まだ仕事だから、家にいないよ」 「じゃあ、待つしかないわね」 「そんなの退屈だな。つまんないよ」 まるで反省していないらしく、足を放り出してパイプ椅子に座る少年の態度は横柄で、悪いことをする自分がかっこいいと思っているように感じます。 駅前交番から男女2人の警察官が現場に臨場すると、どこかうれしそうに微笑んだ少年に男性警察官が言いました。 「お、見たくないのに、よく見る顔だ。お前、名前なんだっけ?」 「〇×だよ。知っているくせに、聞かないでくれよ」 「また万引きしたんだって? 今日は、何を盗った?」 「このパンとコーラだよ。のどが渇いちゃってさ。パンは、ついでに盗ったんだ」 少年事案に微罪処分はなく、被害届が出されれば簡易送致されることになります。まるで親戚のように話す2人に、上役である女性の巡査部長が割って入ると、私情を挟まぬお役所モードで事務処理を進めていきました。 身分を確認できるものは持っていないものの、直近に扱い歴があったため、警察官の手帳に残されていた人定事項を基に話が進められます。軽微な被害の少年事案であることから、まずは被害弁償をさせたいようで、ここに保護者を呼びつけることになりました。 次のページ 犯行現場で証拠写真を撮る万引き少年が、急に顔を隠し始めて…… 123次のページ 楽天 万引き 関連記事 悪質な「マイカゴ万引き」発生! めちゃくちゃな言い分の18歳常習犯に、冷たい手錠がかかった瞬間エコバッグ窃盗犯の女VSベテラン万引きGメン! 防犯機器の「電源を抜く」狡猾な手口ベテランGメンVS100人の万引き犯! 大量盗難に苦しむショッピングモールからの救援要請無人の餃子販売店に万引きGメンが喝! 魔が差しやすい無法地帯――ヒトの性善説を過信しないで夏の風物詩「アウトドア系」万引きの実態とは? 万引きGメンが見たディスカウントストアでの犯行