娘の中学受験で「入学金振り込みミス」――デジタルに不慣れな母の“血の気が引いた”瞬間
“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。
年が明けると、全国各地で中学受験の本番が始まる。それはすなわち、親にとっては煩雑な事務作業の開始を意味する。「出願書類の提出」から「入学手続き」までの一連の流れを、完璧に遂行するという“最大のミッション”である。
まずは願書の入手に始まり、その記載、受験料の払い込み、試験日の集合時間・持ち物・合格発表の形態とその時間のチェック、入学手続き、入学金振り込みなど、ミスがないように確認しながら進めなくてはならない。なぜならば、一つでも間違えた場合、ヘタすると受験すらさせてもらえない、合格しても入学できないこともあり得るからだ。
出願ひとつ取っても、各校によってやり方はさまざま。学校に直接出向く、郵送で受け付ける、インターネット出願のみ、という具合で、それを期日までに完璧にこなさなければいけない。
しかも、中学受験は日程がタイトであるがゆえ、そのスケジューリングが複雑化していく。
首都圏の場合、中学受験は1月の埼玉・千葉入試を皮切りに、2月1日からは東京・神奈川入試が始まる。特に東京・神奈川は約1週間のうちに入試が行われ、随時合否が発表されるのだが、その結果次第で、入学手続き、入学金の振り込み、場合によっては駆け込み出願も発生するため、親は膨大な事務作業を強いられる。
例えば、2月1日午前にA中学を受験。午後はB中学を受験。その日の夜にB中学の合格発表を確認し、もし合格していた場合は、入学金振り込みの締め切り日を見ながら、2日にC中学とD中学のどちらを受験するかを決める。また、2日の午前にはA中学の合格発表を確認する作業があり、その結果次第で、今度は3日の受験校を決定する――そんなパズルのようにスケジュールを組み合わせる日々が繰り広げられていく。この期間は、子どもだけでなく、親にとっても緊張の連続なのだ。
これは毎年のように塾の先生から聞く話だが、合格したのに、うっかり入学金を納めるのを失念して、合格を取り消されるケースがある。