コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
中学受験塾の室長が明かす、「モンスタークレーマー」の実態……「医学部狙い」の父親が暴走
2022/11/26 16:00
「最初は電話でしたね。まずは『クラス担任を出せ!』とおっしゃり、塾に対するクレームを話されるんですが、とにかく『クラスを落とすな!』の一点張り……。クラス担任では埒が明かないと見るや、次は『室長を出せ!』となり、また『クラスを落とすな!』と繰り返す。もちろん、正当な理由でしたら、我々にも一考の余地はありますが、理不尽なクレームで、お一人の保護者に長い時間を割くわけにもいきません。さすがに、こうも頻繁ですと、湊君のお父さんからの電話だとわかっただけで、スタッフの誰もが困惑顔になったものです」
次第に寛さんはモンスタークレーマーと化し、直接、塾にやって来ては、「模試での偏差値が下がったのは塾のせい、成績が上がらないのは講師の質のせい」と大声でまくしたてるようになっていったという。
「こういうお父さんですから、湊君も家庭で、結構ギューギューに勉強させられていたようです。本人的には本当に頑張っていたと思いますよ。しかし、中学受験には、各小学校の成績優秀者たちが参戦し、高いレベルで競い合うという面がありますから、いくら努力をしていても、一気に偏差値が上がっていくということのほうが少ない。もちろん、こういったお話も常にお父さんにはしていたんですが、こちらの力不足で、ご理解いただけたというには程遠かったですね」