カルチャー
大関暁夫氏インタビュー【後編】

King&Princeの空中分解を招いたジュリー氏……経営のプロが語る「ジャニーズ事務所立て直し」のためにすべきこと

2022/11/24 21:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman
デビュー当時6人体制だった頃のKing&Prince(写真:サイゾーウーマン)

 ジャニーズ事務所副社長およびジャニーズアイランド社長を務めた滝沢秀明氏の電撃退社、King&Prince(以下、キンプリ)・平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太の脱退・退所発表と、激震続きのジャニーズ事務所。

 前編では、“組織のプロ”である企業コンサルタント・大関暁夫氏に、滝沢氏退社の背景に見え隠れする、藤島ジュリー景子社長の力関係についての見解をお聞きした。後編では、キンプリ分裂に見るジュリー氏の過ち、また事務所を立て直すために取り組むべきことについて考えていく。

(前編はこちら)

King&Princeの空中分解を招いたジュリー氏の問題点

――キンプリの平野、岸、神宮寺が脱退・退所を選んだ背景には、デビュー当時に掲げていた「海外で活躍できるグループになる」という目標が、このままでは達成できないという葛藤があったようです。キンプリのマネジメントはジュリー氏が担当していただけに、グループの空中分解は彼女にも責任があるように思います。

大関暁夫氏(以下、大関) 「海外で活躍するグループになる」というのは、ジャニー喜多川氏との約束だったそうですね。韓国のBTSなど、アジアから世界的に活躍するスターが次々と現れる中、「ジュリー氏の元で海外進出は無理」と実感したのかもしれません。それが、脱退・退所の引き金にはなったことは十分に考えられるでしょう。やはり、カリスマ経営者だったジャニー氏の「世界を目指せ」という言葉は強い。カリスマの裏付けがないジュリー氏とは説得力が違います。

 ジュリー氏は代替わりに際し、経営の仕方を変えるとともに、タレントたちに新たな路線をしっかり提示する必要があった。それをしないまま、先代のカリスマが作った路線に何となく乗っかっているだけでは、必ず限界が来ます。キンプリはじめ、相次ぐタレントの退所は組織管理が崩壊しつつあることの現れですから、ジュリー氏は危機感を持ち、「組織を変えていく」と意識すべきでしょう。そうしなければ、人材流出は今後も止まらないと思います。

――今後ジュリー氏は、事務所を立て直すために何をすべきなのでしょうか。

大関 組織運営の透明化です。そのためには、自分の意見だけでなく、周りの意見を聞くことが第一条件になります。では、具体的に何をすればいいのかというと、まず社外取締役を入れ、第三者に経営の監視をしてもらうのです。

 滝沢氏が電撃退社した背景に、組織内部での軋轢があったことは想像に難くありませんが、もし会社経営に精通した社外取締役がいたら、また話は違ったのでは。例えば、滝沢氏とジュリー氏の意見がぶつかった場合、社外取締役がいれば、役員会で第三者の立場から双方の意見を聞き、「組織運営上、どちらのほうが理にかなっているのか」などを提言してくれたと思います。社外取締役の言葉は説得力がありますから、双方も納得しやすく、不満が大きくならなかったのではないかなと感じますね。

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