コラム
オンナ万引きGメン日誌
ベテランGメンVS100人の万引き犯! 大量盗難に苦しむショッピングモールからの救援要請
2022/11/19 16:00
「発報したら、必ず(その人を)追ってください。絶対に、(万引きを)やりますから」
夕方までの間に、顔認証の発報とは関係なく、いくつかの食品を盗んだ高齢女性を捕らえましたが、微罪処分となり警察署に行くことなく処理を終えることができました。
そうこうしているうちに業務は後半を迎え、指示通りに人気のなくなった2階の婦人服売場に潜んで警戒していると、業務終盤になって突然に顔認証システムの受信機が発報します。端末画面を確認すれば、大きめのトートバッグを肩にかけた女性の写真が、検知位置情報と共に表示されていました。付記された情報を見ると、化粧品狙いで登録されている人なので、きっと2階に上がってくるはずです。
婦人服売場からコスメドラッグのコーナーを見渡せる位置に移動して、自分の読みを信じつつ彼女の登場を待ち受けると、まもなくしてサーファーのように日焼けした40歳くらいの女性が姿を見せました。
女優の田中律子さんから、可愛らしさを取り除いたような雰囲気の女性で、その顔つきを見ればヤル気満々といった様相です。迷うことなく化粧品売場に直行したので、その動向を注視するべく後を追うと、乳液や化粧水、付け爪といった商品を手に取ってはトートバッグに隠していきます。
(これは、常習だわ)
女を注視すること、およそ3分。明らかに重量感の増したトートバッグを肩にかけ、いわば堂々とエスカレーターに乗り込んだ女が、そそくさと1階の出入口から外に出たところで声をかけました。