コラム
知られざる女子刑務所ライフ156

廃院になった精神病院の闇――元患者が明かす「廊下でレイプ」「差し入れ着服」恐ろしい実態

2022/11/13 17:00
中野瑠美改め瑠壬(作家)

 一人部屋には時計もなく、近くの線路から聞こえる電車の音と、窓から見える朝日と夕日で、なんとなく時間がわかる感じでした。外が明るくなって、電車の音が聞こえると、「あー始発か。朝やなあ」とか思うんです。

 クスリが抜けてきて、周囲の様子がわかってくると、これがまたひどかった。

 後でわかったことですが、病院の経営陣は、スタッフの給料や備品の経費をケチるだけケチって、家族からの差し入れのお金も着服していました。そうして貯めたお金を地元の政治家に配ってたんで、虐待もうやむやにされてたそうです。それに、どこも受け入れない患者さんの受け入れ先としても重宝されていたとか。

 これも後から知りましたけど、スタッフが足りない分は、どこから連れてきたのか、資格のない人を使うていました。この人らは、患者さんを殴る蹴る、怒鳴る――頭をつかんでトイレのモップを洗う流しに入れ、水で洗うのも当たり前だったんです。

 それと患者のコワモテのおっさんと姐さんをボスにして、ほかの患者さんたちを仕切らせてたんですが、これがまた最悪でした。とにかくすぐに殴るし、患者さんたちの家族からの差し入れのお菓子も取り上げてました。ムショでいう「シャリ上げ」、食べ物を取り上げることです。

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