コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

『笑点』を自主降板――二代目・林家三平は、「面白くないまま」大喜利を続ければよかったと思うワケ

2022/11/10 21:00
仁科友里(ライター)

 それに「デキる人」というのは、実は損な部分がある。

 小室眞子さんの夫・圭さんが、3回目にしてニューヨーク州の司法試験に合格したことは記憶に新しいが、もし彼が「デキる人」で一発合格していたら、世論はどうなっていただろうか。

 もちろん祝福の声は上がるものの、「米フォーダム大学で奨学金を得て学んだのだから、当然だろう」「所帯を持ったのだから、落ちるわけにいかない」というふうに、小室さんの努力を認めず、当然視する意見のほうが優勢だったように思う。

 しかし、圭さんは、2回の失敗を経験。ニューヨーク州の司法試験は、回を重ねるごとに合格率が下がるとされるデータがあり、ここから判断するならば、彼は、かなり不利な状況に立たされたといえる。しかし、大方の予想を裏切って、3回目にして合格したからこそ、圭さんは「頑張った」「運を持っている、すごい人だ」と、多くの人たちに褒められたわけだ。

 これは『笑点』の大喜利においても、同じではないだろうか。毎回爆笑をさらい、座布団をどんどん取っていた「デキる人」が、たまたま数回取れないと「最近面白くない」とか「失速し始めた」と言われる可能性がある。

 しかし、「面白くない」と思われてきた三平が少し面白いことを言えば、「よくやった」「やればできるじゃないか」「やっぱり、父親の血だ」というふうに、ほめそやす人も出てくると思われる。

 最初から、いい点数を取れるというのは素晴らしいことだが、その後は、それ以上の活躍をしないと世間サマは認めてくれないと考えると、「デキる人」はリスクでもあるのだ。ゆえに「面白くないお坊ちゃん」というのは、伸びしろしかないし、三平にしかできないおいしいキャラだったと思う。自分から『笑点』を辞めるなんてもったいない。

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