『ザ・ノンフィクション』父親の遺産と、父の厄介な内縁の妻「あの日 僕を捨てた父は ~孤独な芸人の悲しき人生~ 前編」
番組を見ていて複雑な気持ちになったのは、フジタは陽人に対しマイナスな感情があるようにはあまり見えず、むしろ父親の世話をかいがいしく焼いている。一方で、父親の内縁の妻である朱美に対して嫌悪感を抱いているように見えたところだ。
朱美は確かに自分勝手のように思うが、「子どものフジタに寂しい思いをさせながらのうのうと生活してきた」という点で朱美と陽人は同罪だし、陽人はフジタの実父という点で、より罪深いだろう。
また、陽人について、番組を見ていない人は「とんでもないクソジジイ」を連想するかもしれないが、テレビ画面に映る陽人は、フジタへの所業に反し「愛嬌のあるおじいちゃん」なのがまた複雑な思いにさせられる。そして一方の朱美も「ちゃきちゃきとしたおばあちゃん」という感じで、陽人と朱美と朱美の孫が回転寿司店で食事をする場面は「ほのぼの」としていたくらいだ。そのほのぼの感を、フジタの幼少期に分けてやってほしかった。
陽人が今のフジタにできること
不実な男と女は老いて、おじいちゃんとおばあちゃんになる。親は「老いる」ことで、子どもに「もうこの人にはなにを言っても無駄」だと思わせ、複雑な感情を子どもに残しつつ逃げることができてずるい。私がフジタなら、遺産がよほどの高額でもない限り陽人とそもそも連絡を取らないと思うが、そんな父親からでも、関心を持たれるとうれしいのだろうか。
なお、フジタはYouTuberとしても活動している。今回の放送で登録者数も増えたと思われるが、放送日10月23日午後9時の時点でチャンネル登録者は7.55万人となっている。コメント欄は番組を見た人からのフジタへの激励の言葉であふれていた。息子に対して不実であった陽人はせめて、チャンネル登録者数増やしくらいは貢献してほしい。
次回は今回の後編。フジタの堪忍袋の緒がいよいよ切れて……。